『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観た。
今までに何本もマリオが出てくるゲームをやってきたことがあるけども、最初に彼を操作したのは64のマリオだったと思う。ボムキングを投げ、ウツボから逃げ、ペンギンとスライダー競走をして、クッパをジャイアントスイングして爆弾にぶつける。必死に3Dスティックを回していた。スマブラやマリオパーティ、スポーツシリーズのマリオも友達とワイワイしながら遊んでいた。ゲームが楽しいものであると教えてくれた恩人のような方だ(そしてこの感覚を持っているのは私だけではないはず)
そんなマリオ師匠が(再)映画化されるというのだから、観なければいけない。先行上映された海外の評判が高いという情報は入っていたもののどんな作品になっているのか、映画館で本編上映を待つ私は、さながらニューヨークのニンテンドーショップで新作情報を楽しみにしているファンのようだった。
今回はマリオが世界を救うスーパーヒーローへと成長するエピソード・ワンを描いた展開になっている。ニューヨークで配管工として独立したマリオとルイージだが、仕事はなかなか思うように上手くいかない。そんな中、とあるトラブルをきっかけに、マリオとルイージは不思議な土管に吸い込まれる。キノコ王国へ流れ着いたマリオは、ダークランドへ漂流したルイージが悪の帝王・クッパに捕らえられているかもしれないという情報を聞いて、彼を救いに行く冒険へと出かける。
マリオ以外のキャラクターの魅力もふんだんに詰まっている。強い国のリーダーとして描かれるピーチ、統率の取れた軍を率いながらもどこか惜しいクッパ、コング王国のおうじにしてお調子者のドンキーコングなど、それぞれにもストーリーが描かれている。
そして節々に差し込まれる小ネタの数々。ルイージのスマートフォンの着信音に聞き馴染みがあったし、任天堂ゲームで登場するキャラクターたちもカメオ出演するのがなんだか嬉しい。劇中の音楽も、ゲームで何度も聞いたBGMがエッセンスとして入っている。「ああ、地下だからこの曲だよね」とDNAレベルで理解できてしまう。幼少期からマリオを買い与えてくれた両親に感謝したくなる。
それでいて、ファンだけが楽しめる「オールスター集合」的な映画にしないのがニクい。作中のマリオの活躍を通して描かれるのは、難しいステージに対して何度も挑戦してようやく突破したときの興奮の追体験だ。そういえば僕たちだってマリオの手助けをして、世界を何度も救ってきた。その感情をスクリーンで観客たちと共有できる喜びがある。できればワイワイ声を出しながら観てみたい。YouTubeで観た「海外のリアクション」みたいなのをスクリーンでやりたいものだ。