砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

アゲアシトリスト

マツエクを施術する人の職業をアイリストというらしい。美容には全く見識がないので、そういう職業名があるんだと一個賢くなったと同時に「アイリスト」という名称にふわりとした違和感を覚える。「eye」の美容を施す人なら、人を表す「-ist」の接尾辞がついて「アイスト」になるはずだ。「リ」はどこから来たのか。

アイリストより前にあった言葉を考えてみる。これはおそらくネイリストだろう。爪をあらわす「nail」に「-ist」でネイリスト。英単語の構造としてもとってもわかりやすい。きっとこの「リ」をアイリストは拝借しているのだ。

「アイスト」だとすこし寂しさがあったのだろう。同じ美容業界だし、きちんと挨拶してお願いをした結果、ネイリストたちは「リ」をのれん分けしてくれた。「爪」という字がなんだからまぶたを閉じたときのまつげに見えてきた。

もうひとつ揚げ足のような疑問を呈したい。まつ毛は英語でいうと「eyelash」だ。なぜ「eyelashist」にしなかったのか。そのまま、まつ毛に特化した美容業といえば、わざわざ「リ」を借りることなどなかったのだ。カタカナにすれば「アイラシスト」だ。東京アイラシスト美容専門学校なんてクールな校名じゃないか。

これはもしかして英語自体に秘密があるかもしれないとググってみたら、案の定アイリストは和製英語であった。英語で言うなら「eyelash artist」というらしい。アイラシストじゃなかった。ごめん。

さらに調べてみたらネイリストも和製英語だった。まじかよ。和製英語から「リ」借りてたのかよ。ちゃんと通じるように言うならアイリスト同様に「nail artist」もしくは「manicurist」とのことだ。マニキュリストかっこいいじゃん。「彼女は華麗な爪美容師(マニキュリスト)」っていう漫画とかやったらいいじゃん。業界を追われた伝説のマニキュリストが、依頼者の要求に答えた素敵なネイルを作りながら同時に依頼者の人生における問題も解決しちゃう一話完結のやつ。無料だったら読む。