砂ビルジャックレコード

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伊藤万理華さんを見ていたら(『サマーフィルムにのって』観たマン)

『サマーフィルムにのって』を観た。

 


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悲しいもので、夏に対するイメージを「暑い」しか持っていないことに気づく。この「クソあち〜」夏は生き延びることに精一杯で、唯一の夏らしさといえば、おそばを食べたりアイスを食べたりぐらいだ。おそばもアイスも夏じゃなくても食べられることを知っていながら。

 

元々夏は苦手意識を持っていたのだけど、もはや通常になってしまった猛暑のおかげで、夏に対する拒否反応が強くなっている。そんな私だって夏男と呼ばれたいし、夏の冒険を体感したい。地球的事情および社会人的事情で無闇に夏の冒険に行けないという悲劇も拒否反応に拍車をかける。

 

そんなときに、自分の代わりに夏を全力疾走してくれる映画に出会った。『サマーフィルムにのって』だ。とある高校の映画部に所属する女子高生・ハダシは、同じ映画部の花鈴の制作する甘々ラブコメ映画に対抗しようと、自分の時代劇愛を詰め込んだ「武士の青春」という映画を作ろうとするが、なかなか主役のイメージに合う人物が見つからない。そんなハダシの前に現れたのは謎の男、凛太郎。同じ時代劇好きの凛太郎をなんとか口説き落とし映画を撮影し始めるハダシとその仲間たちだったが、凛太郎にはある秘密があった、というのがあらすじ。

 

「高校生が映画を作る」という一文だけでもう胸がキュンとする。それでいて時代劇というのがたまらないじゃない。これを寄せ集めの同級生たちで撮ろうとするのだ。一芸に秀でた同級生たちの特殊スキルと、映画製作への活かし方も幻想的だ。

 

脚本は劇団「ロロ」の三浦直之。そういえば、この前まで上演されてた「いつ高」でも高校生が映画を作るという展開だった。ロロらしい「好き」であることを肯定する世界や登場人物にヒールがいないのも美しい。駐輪場のシーンでハダシとビート板とブルーハワイが話す場面でもグッと来てしまった。そうか、大人になった自分は駐輪場で物を食べながら会話をすることがないんだなあと気づいた。

 

 

主役の伊藤万理華が演じるハダシの映画への愛情も後押しせずにはいられない。とろんとした目を見ながら時代劇への愛を爆走させるハダシならずっと観ていられる。この『サマーフィルムにのって』の主題歌となっているCody・Lee(李)の『異星人と熱帯夜』にも伊藤万理華さんが出演していて、踊り狂っていて、これもずっと観ていられる。彼女の舞には不思議な引力がある。テレ東で放映されているドラマ『お耳に合いましたら。』のエンディングもそうだが、今年の夏は伊藤万理華さんとともに踊っていると思う。踊っている伊藤万理華さんを見ていたら夏が終わった。なんて夏が理想かもしれない。

 


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