砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

キャスト・アウェイじゃん

 

さんざん、あのときエアコンのリモコンを探していたはずなのに、この間、部屋を掃除しているときにひょこっとエアコンのリモコンが出てきた。ベッドと床の隙間に入っていた。かなり奥の方まで入っていったので、2ヶ月前の自分は捜索を断念していた。思い切ってベッドをずらしたことが発見の要因だ。電池は残っているし、リモコンを押せば、エアコンが起動した。ただ、これで一件落着というわけではない。

 

takano.hateblo.jp

 

5月末に捜索を断念し、エアコンのリモコンの神隠しを認定しまった私は、新しくエアコンのリモコンを買ってしまっていた。そして何度かの猛暑日を新しいエアコンのリモコンを使って耐えしのいだある日に、かつてのリモコンが帰ってきた。かつてのリモコンの定位置がもう埋まっているのである。展開そのままキャスト・アウェイじゃん。

 

かつてのエアコンのリモコン(初代)が耐えた数ヶ月は苦しかったであろう。通り過ぎる飛行機や船に手を振っても、周りは真っ暗で見つけてくれなかった。エアコンのリモコン(2代目)なら、なぜかLEDライトがついているからすぐに見つかったのかもしれない。初代は、いつか助けが来るのを信じ、同じくひとりぼっちであったバレーボールにウィルソンと名前をつけて、孤独を紛らわしていたのだろう。だからキャスト・アウェイじゃん。

 

同じ操作をするためのリモコンが2つあるからといって、片方を捨てるという選択は間違っていると思う。そもそも私が、手を振る初代をもっと必死こいて探せばよかったのだ。ごめんよ初代。遭難していた2ヶ月分、いっぱい除湿の起動ボタン押してあげるからね。初代と2代目を並べても意味がないので、初代はテーブルの隅、2代目は枕元に置くことにした。キャスト・アウェイじゃないじゃん。ハッピーエンドじゃん。みんな幸せじゃん。エアコンのリモコンを押したくなるほどの酷暑と極寒、もっと来ねえかなあ。