砂ビルジャックレコード

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寝起きエレクトロ(『ショック・ドゥ・フューチャー』観たマン)

『ショック・ドゥ・フューチャー』を観た。

 


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エレクトロ系の音楽を聴くと、頭を空っぽにできる気がする。繰り返されるリズムに、もやもやしていることや、心配していることを一旦預かってもらって、精神のデフラグ作業を開始する。徒歩移動しながら聴くエレクトロが好きで、10分以上歩いていると、自分の脳波もエレクトロとシンクロする感覚に陥る。朝3時ぐらいに疲れ切っているときに立ちっぱで聴くエレクトロも好きで、電子音によって体がドロドロにされていく感じに幸福をおぼえる。

 

『ショック・ドゥ・フューチャー』は、そんなエレクトロミュージックにスポットライトを当てたフランスの映画だ。物語上の時代は1970年代後半で、当時では珍しかった女性エレクトロミュージシャンのアナが創作することに苦悩しつつも、希望を見出す、そんなある一日が描かれている。

 

声を大にして伝えたいのは、とにかく最初のシーンが最高なのだ。主人公のアナが目覚めるところから始まるのだが、起きてすぐにタバコをふかして、音楽をかける(カセットテープというのもなんだかいい!)。アナは徐々に起き上がり、エレクトロに合わせて踊りだす。寝起きだから、上が大きめのTシャツ、下はパンツ一枚という格好なのだが、純粋に、音楽に身を任せるアナの気取らなさもいい。家でエレクトロかけてひとりで無心に踊るときの服装に正解があったのだと気付かされた。

 

アナは、制作の依頼を受けているが、なかなか形にならない。プロデューサーにも怒られ、シンセも壊れるという最悪の一日になるかと思いきや、偶然、ローランドのリズムマシンと出会ったことで、物語が大きく動き出す。この物語の中でアナは、"Future Shock"という曲を作り上げることになる。この完成までの軌跡も大きな見どころだ。

 

音楽をテーマにした映画が好きな理由のひとつに、OSTがある。OSTさえあれば、帰り道も映画に浸れるのだ。『ショック・ドゥ・フューチャー』のOSTも凝っていて、"Future Shock"の作成中版と完成版が入っているのだ。映画の追体験OSTでも味わえるのが素晴らしい。最高の記憶のお土産だ。

 

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季節は寒くなってきたけども、タイミングを狙って、大きいTシャツ1枚+パンツ1枚のスタイルでぐっすり寝ようと思っている。気持ちよく朝を迎えたら、作中のアナのように寝起きエレクトロをかますのだ。そのあとの朝食はフレンチぶった豪華なものにしてやるんだ。こんな未来を創ってくれた、革命前夜のエレクトロミュージシャンたちに感謝したい。