砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

傷だらけの天パ(『探偵はBARにいる3』観たマン)

探偵はBARにいる3』を観た。

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しばらく北海道に行っていない。北海道新幹線が開通したときにも、この間のめちゃイケ日本一周でラッキーピエロが紹介されたときにも、なんならゴールデンカムイを読んでいるときにでさえも、行きたい欲がグングン芽生えるのだけどもなかなかタイミングが合わない。夏の北海道にしか行ったことがなく、他の季節の表情を知らないのはもったいないことだと思う。

 

というのは、冬の札幌を縦横無尽にかけめぐる探偵と助手への猛烈な憧れを持っているからだ。銀世界と成り果てた路地裏でのアクションシーン、ダイナミックな自然、華やかなネオンと真っ白な景色に隠れているすすきのの混沌さを肌で味わいたい。ニッカウヰスキーのネオンの前で自撮りしたい。

 

この『探偵はBARにいる』も第3弾となった。徐々に主人公を演じる我らが大泉洋から漂う哀愁が完熟を迎えているのではないか。顔の皺もあのころ(=元気くん)からとっても増えたよな。しかし、守りに入らないアクション。もしかしたら過去最大級に体を張った演技にニヤニヤが止まらない。

 

もう、大泉洋演じる探偵がひたすらに負け続けるわけだ。ふとした依頼がきっかけで明らかになる闇の正体。真実に近づくほど、何回も地雷を踏み、えげつないお仕置きを受ける。パンイチで冬の漁船なんていかにも北海道らしいお仕置きだ。雪埋め、拘束されたまま大倉山ジャンプ台など、この北海道の地の利を生かしたお仕置きもこのシリーズの見逃せないポイントだ。そのうち新巻き鮭でぶん殴られたり、ヒグマでガッサーいかれてしまうのではないだろうか。殴られ、蹴られ、騙されて、傷だらけになりながらもゴールへ向かう探偵の執念に魅せられる。傷だらけになりながらゴールへ向かうのは大泉洋の専売特許である。なんとなくその部分をリンクさせながら観ていた。

 

度重なる困難をくぐり抜けて最後の最後にたどり着く答えは、スカッとしない。スカッとしてたまるものか。前2作では「女の復讐」がひとつのポイントだったが、今回もヒロイン役の北川景子が鍵を握る存在となる。闇の中に有り続ける信念の炎は冷たく、強い。