『キングスマン ゴールデン・サークル』を観た。
男の子は年を取れば誰でもビシっとスーツを着こなしたい。書店にあるメンズファッション誌で、表紙を飾るブリティッシュを見つけ、その願いは何度も現れる。意を決してスーツを買いに店に行くとその理想は理想であったことを思い知らされる。鏡に写るのは紳士ではなく、就活生にしか見えない。皆さんにお聞きしたいのですが、どうすればコリン・ファース感を出せるのでしょうか。
スパイ映画『キングスマン』の第2弾。前作でキングスマンの一員となったエグジーに襲いかかる新たな脅威。上映スタートからいきなりの元・キングスマン候補であったジャッキーとのアクションシーンでアクセルベタ踏みだ。前作で使用されたガジェットも継続して使われているので、しっかり予習してから本作を観てほしい。喜びも悲しみも2倍だ。もう、衝撃的な展開に感情がアップダウン。私の心はぐちゃぐちゃだ。
今作のタイトルになっているゴールデンサークル(Golden Circle)とは、本作の敵組織の名称。麻薬販売組織で、構成員の証が純金の環のタトゥー。このGCのボス(演:ジュリアン・ムーア)の手口がいかにも現代的。決して表には出ず密林の奥に要塞を構えてやりとりをする。テレビ、ネット、戦闘ロボット、ドローンまでも使って決して自らの手は汚さない。清潔感のある残忍さといったところか。前作のボスは、SIMカードを使った人類間引き作戦であったし、悪役の姿も徐々に変わりつつある。
前作では、労働者階級のエグジーが紳士となるまでの成り上がりがストーリーのメインラインだった。今回も「階級」という切り口で、語ることができるが、本作ではアメリカのスパイ、”ステイツマン”が登場する。この 「vsアメリカ」をめぐった切り口も見逃せない。カウボーイの格好で、投げ縄で攻撃して、ガジェットがバットとボール。ステレオタイプ丸出しなステイツマンの設定にニヤッとする。コードネームが円卓の騎士に由来するキングスマンに対し、ステイツマンはウイスキーにテキーラ、シャンパン。青山剛昌感がすごい。
私は『キングスマンGC』の興奮が醒めておらず、非常にブリティッシュモードになっている。いいスーツがほしい。いい傘がほしい。いいガジェットがほしい。もちろん鏡なんて見てたまるか!