砂ビルジャックレコード

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大将と代表と将太(『LIVE FOR TODAY-天龍源一郎-』観たマン)

『LIVE FOR TODAY-天龍源一郎-』を観た。

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好きなものと好きなものとが組み合わさるのは本当に嬉しい。幸せはここにあるのだと認めてしまう。今回は、映画×プロレスという私のよだれダラダラもの。一昨年に引退した“ミスタープロレス天龍源一郎の、引退発表から引退試合までの、いわゆる“引退ロード”に密着したドキュメンタリー作品である。

 

ちなみに、その引退試合、私も両国まで足を運んで、しっかり拝見しましたよ。今もあのメインイベントの観客の声が蘇る。

takano.hateblo.jp

 

もちろんこの映画での主人公は天龍源一郎なのだが、もうひとりいる。それは天龍の愛娘の紋奈だ。ひょんなことから天龍の所属する団体の“代表”になってしまった彼女が必死になって、団体を切り盛りし、父親の最高の“死に場所”を探す旅も見逃せない。

 

ナレーターはまさかの染谷将太くん。染谷くんはやっぱりガチだ。染谷くんも舞台挨拶に来ると聞いて、おじさん行っちゃったよ。

https://www.instagram.com/p/BQE2wTTDoKL/

朝から天龍さんに会えて血湧き肉踊ってる。画素で水彩画みたいだけど。 #revolution #livefortoday #thunderstorm

染谷将太菊地凛子と3人で後楽園ホール行きたい。できれば大日本。 

 

映像の中の、65歳の天龍の傷だらけの体が本当に痛々しい。リングシューズを脱いだほっそりとした、素足の天龍や、杖をしながら歩く天龍に泣きそうになる。天龍の家の玄関にも杖が吊り下げられている。プロレスラーが持つことを許されるファンタジーさを消して、ありのままを見せつけてくるミスタープロレスに言葉を失う。

 

もちろん、そのありのままの姿は、リングに上がれば“ぼくらの天龍”になるということだ。親子ほど年の離れた対戦相手に放つグーパンチ!チョップ!映画館に響き渡るチョップの音が心に響く。和太鼓のような重厚感。二度と味わうことの出来ないチョップを浴び、なにかを感じる未来のミスタープロレスたち。この映画では「プロレスは伝承文化」というのがひとつのキーワードになる。見て、受けて、継がれる意志。

 

すべての“引退ロード”をかけぬけ、とうとう引退試合。Thunder Stormが鳴り響く中、最後の勝負の地へ向かう天龍の背中でおじさんはウルウル。65歳になっても、20代にけちょんけちょんにされながらも勝とうとする泥臭い人間でありたい。