砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

なんかいろいろ(1.4とかキンワカとか)

あけましておめでとうございます。年末年始休みのダラダラがここまで波及して、ブログを書けないでいました。いやはや本当に良くない。頭の中にはアイデアや書きたいことが浮かぶのだけど、それを形にしなければ全く意味がないわけで、著作物を生み出すやつとして本人も頑張ってまいります。

 

年始に新日本プロレスのレッスルキングダム16に現地観戦してきた。プロレスファンにとって、元日とは1月4日のこと。2022年は新日旗揚げ50周年のメモリアルイヤーなのだけど、まだまだコロナの影響もあって、歓声をあげたりブーイングをしたりすることはできない。せっかくの50周年なのに寂しくはあるけども、1.4はやはり1年で最高の大会だ。なんといっても新日本の顔となったのオカダ・カズチカの貫禄に痺れる。

 

この日までの新日本プロレスを知らない方にあらすじを説明すると、団体で一番強い証であるIWGPのベルトが少し前にリニューアルされた。リニューアルにより、新たな"初代チャンピオン"が誕生したため、歴代のチャンピオンが過去に葬られた印象が拭えなかった部分があった。そんな新IWGPチャンピオンの鷹木信悟に挑戦したのがオカダ・カズチカだ。オカダはリニューアル前のIWGPベルトを持ち出して過去vs現在のアングルで話題を作る。

 

オカダの覚悟が感じられたのが入場時のコスチュームで、これが完全に猪木リスペクトのガウンスタイル!オカダはスタイルが高すぎるからちょっとつんつるてんに見えるところがさらにいい。新日本プロレス創始者をリスペクトした出で立ちで、過去の象徴である旧IWGPベルトを肩にかけて現在のチャンプ音に挑む。このストーリー構成、海外ドラマでも組み立てられない。

 

試合は熱戦の末、オカダが勝利。旧ベルトを復活させていくのか?と予想していたけども、オカダはその旧ベルトをリングに置いて深く一礼して、現在のチャンピオンとして、新しいベルトを巻いたのだ。歴史の証人だった旧ベルトにお別れする機会を作りたかったために持ち出したことをマイクで語るオカダ。この理由にますますオカダのことが好きになる。

 

オカダが試合後に深く一礼したのは今回が初めてではない。両国国技館での天龍との引退試合で文字通り天龍に引導を渡したオカダは、倒れた天龍をケアする周りを退かせてから、天龍に対して深々と一礼をしたのだ。このときの両国国技館の観客がひとつになった瞬間が忘れられない。

 

天龍の引退試合のときは現在のプロレス界のトップランナーとして、過去と現在をつなぐ役割を果たしたが、今回は新日本の歴史を知る人物として、50年も背負い込んで、現在のIWGPを受け継ぐという意思を示した。過去と現在と、そして未来をひとつの線に揃えたオカダが帰っていく姿を見ながら、この大会のキャッチコピーである"Beyond the Legacy"という文字が心に焼き付く。

 

それと、4年9ヶ月ぶりの柴田の復帰。これも泣いてしまいました。欠場前最後のIWGP戦(このときの相手はオカダなのです。ほんと歴史の場面場面でいるなあ)を見ていた自分にとっては、時計の針が再び動いた瞬間に立ち会えたのが本当に嬉しい。自分の近くにいたお客さんが「柴田、負けるなよ」と思わず声に出してしまう気持ちもわかる。コブラツイストに串刺しのドロップキック、最後のPK。ゴツゴツな試合は体調的に難しいかもしれないけど、バチバチな試合ならまだまだできる。その希望だけでこの1年生きていける。

 

 

 

お正月にニッポン放送でやっていた『欽ちゃんとオードリー若林のキンワカ60分!』も痺れっぱなしだった。視聴率100%男とテレビ界の希望のタイマントークなのに、なんだか座布団がしなしなの座敷居酒屋や、久しぶりに実家に集結した親戚たちの話をこたつで聞く親近感があるのが面白い。

 

若林さんが欽ちゃんを「近所の面白いおじさん」と評していたけど、そう感じさせるのは若林さんが懐へ、ヒットアンドアウェイで入ってくれるからだ。テレビの大先輩として尊敬しつつ、貴重なお話を聞く中で、金言が出れば、リスナー代表のようなかたちでツッコむ。それは言葉の財宝が出たかのような喜び方なのだ。

 

ストイックな浅草芸人という尊いイメージのある欽ちゃんが、そのツッコミを媒介として、人生を面白おかしく冒険する人のように感じてくる。年を経るにつれ、年相応の賢い言葉が必要になるという話から、欽ちゃんが予備校に通ったというエピソードは最高だったし、いずれくる40代以降に向けての生き方のお守りになる時間だった。これは節目節目で聞く番組になるのかな。欽ちゃんはどこまでも欽ちゃんだし、今でも、新ネタを考える欽ちゃんかっこ良すぎるだろ。

 

対談の中で、下町出身やコンビの頭脳役以外にも、ドロップキックの打ち方で意気投合したり、スタジアム状の会場で興行を開いたり、小さい共通点が見つかってくるのも微笑ましかった。野球場ってマスとコアのちょうど中間だもんなあ、とひとつのステージとして球場を選択する欽ちゃんの慧眼さを感じた。

 

最後に欽ちゃんが、「あいつ、若林、好き」と若林さんを"友達"として認めるのが、なんだか嬉しかった。この1時間もどこか過去と現在がつながる瞬間であった。