『サンドラの週末』を観た。
ボーナスを選ぶか、同僚社員(サンドラ)のクビを選ぶか、多数決をするというなかで主人公のサンドラは自らの復職を求め、全社員に会いに行く。シンプルな設定だし、たった2日間の出来事なんだけどもじわじわ引きこまれてしまった。
なにか、ドキュメントを見てるような自然な流れ。社員に会いに足を伸ばす日常的ロードムービーというカテゴリーではないだろうか。淡々と進んでいく中で、ちょっと話が動くことに派手な映画で決して感じられない繊細な一喜一憂を感じていた。ぼくたち、観客が見たいのは2日間必死にもがくサンドラの笑顔!とはいっても、観客の思惑通りに物語は進まないわけで。お金も大事だもんなあ。
学校や会社の同級生、同僚で家族ぐるみの付き合いをしている人たちってほんの数人だ。付き合いが0人だって人もいるはずだ。家族構成も親と一緒に住んでるかどうか、子どもの学年も知らないことが多い。このサンドラが務めている中小企業でさえ、そのような状況なのだ。ひとりひとりには家族がいて、その家族もまた別のクラス、職場を持っていて、そのつながりが地球を囲っていて、って考えていると、自分が実際に関わっているコミュニティもサンドラの世界の延長線にあるのではないかと思ってしまった。
果たして自分がボーナスか仲間かどちらかを選ぶとなったら、簡単に仲間を選ぶとはいえないだろうな。映画を観た帰り道、沸々と切なくなっていた。