『海街diary』を観た。
綾瀬はるか、長澤まさみらが4姉妹に 映画『海街diary』予告編 - YouTube
はるかにまさみ、夏帆どころかすずもいるということで、ワクワク楽しみにしていた作品。やっと観た。予告編を見る限り、実はそんなにストーリー自体には期待していなかったんだけど日本らしい味付けの内容でとっても見応えがあった。まず、いきなりのまさみ長澤のシーンでドキッとした。モテキのときとはまた違う艶やかさに吸い込まれてしまった。夏帆の役柄の服のチョイスはドンピシャで好きだし、凛としたはるか綾瀬にもついていきたい。デコ出しすず広瀬も初々しい。もう、これだけでお腹いっぱい。
鎌倉ならではの食べ物も出てくるのもいい。しらすトーストを食べてみたい。ご飯に合うものはパンに合うの法則。まだしらすトーストも食べていないのに、明太子乗せたらもっと美味いんだろうなあと妄想してしまった。
四女で山形から鎌倉にやってくるすずがだんだん3人の姉との生活に馴染んでくる1年の記録は、ほっこりするなかにも切なさがある。そのすずの成長のひとつのものさしになるのが庭に生えている梅だ。梅の実がなる。その実を摘んで梅酒にする。その梅の木は祖父母の時代に植えられたものという話も出てくるし、そのサイクルの中に徐々にすずが混じってくることで、やっと香田家の一員となるのだ。
また、この4姉妹の周りの環境もとても素敵だ。スポーツ店店主を演じるレキシのおそらくアドリブだろうと思われる場面には笑ってしまった。特に、海街食堂のおばちゃんである風吹ジュン演じる二ノ宮さち子は、この物語のもうひとりの主人公ではないだろうか。常に3姉妹、そしてすずを親戚のように見守ってきた彼女の生き方は疲弊しはじめた地方のコミュニティの現実を垣間見たような気がして胸がしめつけられる。月9『デート』でも母親役を演じていたし、自分の中では風吹ジュンが”日本の母親”みたいなイメージになっている。
『海街diary』を観て感じたのが、非日常的な日常である。劇中にはスマホなど最先端の庶民テクノロジーを使う場面が全く出てこない。もちろん、トレンドを映画の中に入れてしまうと、10年後、20年後に観た時、「古さ」というのが際立ってしまう。今どきの中学生なら部活帰りにツムツムやってるはずだろうに。木造の家屋に住み、庭の梅の実を狩っては梅酒にして、地元で穫れたしらすを食べる。憧れるオーガニックな世界。
歴史の授業で鎌倉に幕府が置かれたひとつの理由として、三方が山に囲まれ、残り1面が海に面し、自然要塞として適していたというのが聞いたことがある。まさに、この『海街diary』の舞台は、都会からなだれ込む流行を隔絶したような世界だ。同じフジテレビ制作のテラスハウスの舞台も鎌倉(というより湘南といったほうが正しいんだけど)だった。こちらも、思わず憧れてしまう非日常的な日常。鎌倉はトンネルを抜けた理想郷みたいな舞台になりつつあるんだろうか。