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『ロブスター』観たマン

『ロブスター』を観た。

 


映画『ロブスター』予告編

 

ある独身者が集うホテルに来た主人公。45日以内にパートナーを見つなければ動物にされてしまう。ただ、変身されてしまう動物は希望が通るようで、主人公はロブスターになりたいと言う。そんな不思議な世界観で淡々と物語は進んでいくのだが、この独特のルールが狂わす人間模様が絶妙である。

 

私は、ひとりでコソコソと『ロブスター』を見にきたのだが、「独り身=悪」のルールで話がすすむ世界に、なんとなくディスられているかのような気持ちになる。宿泊客を全員集めて朝会のようなものをするシーンがある。そこで従業員による「ひとりでいると悲劇が、ふたりでいるといいことが」というメッセージを伝えるための寸劇があるのだが非常にシュールである。感情のないまま寸劇をして、宿泊客たちも感情のない拍手。疲弊した空気感がさらにおかしい。このシーンを見てクスクスしていた私を隣に座っていたお年を召した夫婦はどう思っていたのだろうか。

 

ただ、どこか疲弊した空気感の中にも少しグロテスクな描写もいくつかあった。独り身の男子にとって一番過激なシーンはおそらく、トースターが出てくるあのシーンだろう。トースターで恐怖を感じたのは生まれて初めてだ。もう辛い。思春期に観ていたらもっとショックを受けていただろう。あのシーンを見て少し結婚欲が増した自分が愛おしい。

 

人間はルールを作るのが好きなマゾヒストだ。しかし、ルールの強度が過ぎて、縛られることに嫌になると、そのルールから逃げたくなってしまう。しかし逃げたとしても、人間がたくさん住むこの世界にはルールは色々なところに存在するわけで。なんだか最近ルールだけでなく、ルールでないが“潜在的な縛り”が多くなっている気がする。赤外線のように見えないが、感知したらアラームが鳴る仕組みのような。この映画を見ていると人間が生み出したはずのルールに踊らされる人間の滑稽さを感じる。

 

さて、私がこのホテルにぶちこまれ、45日間パートナーを得られることなく過ごしたらどんな動物を望むのだろうか。チワワになってかわいいひとり暮らしのOLにちやほやされるのも悪くない。サラブレッドになって野を全速力で駆けまわるのも悪くない。ハシビロコウになってひたすら動かないのも悪くない。DNAが人間とそんな変わらないオランウータンも悪くない。うーん、パートナー探す以前に来世のことで45日考えそうだ。あ、ヌーは嫌だヌーは!群れるから!