『シング・ストリート』を観た。
いやあ、去年観た「はじまりのうた」に続き、素晴らしい作品でした。ジョン・カーニー最高かよ!なんでキーラを1回ディスったんだよ!自他ともに認める貧乳だからか?
前回の「映画観たマン」で書いた『ブルックリン』と同じ、アイルランドを舞台にした物語。ブルックリンの時代から約30年後のダブリンでの青春群像劇。こんなエモい映画が連発するし、GDPの成長率もエグいし、最近のアイルランドすごいなあ。一緒にコナー・マクレガーみたいなタトゥーする?
さてさて、前回の『ブルックリン』と同じように、この『シング・ストリート』にも、「無気力」「麻痺」というアイルランド的キーワードを映し出している。特に、学校に通う少年たちの親世代だ。当時の高い失業率で行き場を失う親、アルコール中毒や家庭内暴力をする親、カトリックの決まりにより離婚ができない不仲な親、そういう親たちが「麻痺」状態の中で、主人公のコナーを救うものが、Duran DuranやThe CureなどMTVから流れてくる海の向こうの音楽だった。作中で、コナーはバンドを組むがそのジャンルを聞かれた時に「未来派だよ」と発する。「麻痺」した当時のアイルランドから未来へ向けて「脱出」する。この脱出計画こそ『シング・ストリート』の本質である。
そのバンドをはじめるきっかけも、学校の向かいにいた女の子がめちゃくちゃかわいいから「ビデオを撮るから出ない?」という、ど青春な展開。そしてそのビデオに詰め込まれるアイデアも自由奔放でキュンキュンくる。ああ羨ましい。こんな高校生活過ごしてみたかった。むやみやたらにジャンプしながら歌いたかった。とにかく理由を「ロック」で済ませたかった。子宮に響くリフを鳴らしたかった。ああ、なんであんなに英単語を必死こいて覚えていたのだろう。。。
そして、この映画を観た人なら誰しも虜になるのがコナーのお兄様。彼がコナーにロックとはなんぞやを説いていく。「Rock'n'roll is a risk」という言葉は、言い得て妙。きっと一生私の鼓膜に残るはず。ロックンローラーじゃないけど。そして、『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラックよろしく彼に“How to rock”を注入するわけですよ。その兄弟愛にウキウキ。こういうお兄ちゃんがいなかったから私は、ひたすら王朝の変遷とかを記憶していたのだろう。
ひたすら自分の高校時代を呪いながらも、目の前で繰り広げられる青春にキュンキュンおじさんでした。まるっと3年間取り替えてくれませんか?