砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

博多・長崎たびの記録10

とうとう10まで来てしまいました。GWはとっくに過ぎてしまい梅雨がくるというのにまだ終わらないんです。ここまで来たからには完走しますよ。

 

軍艦島を堪能した後は、昼食タイムへ(昼食といっても夕方だ)。迷ったあげくどストレートに長崎を楽しもうということで、トルコライスに挑戦。ツル茶んという老舗で、お値段はやはり観光価格だったけども。。。

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ソースが濃厚で食べる手が止まらなかった。私のホームタウン・横浜も洋食には力を入れているが、圧倒的に長崎のほうがおいしい。中華街はこちらが完封勝ちしたとして、一勝一敗の痛み分けということで手を打とうではないか!

 

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そして、このミルクセーキも非常に美味しかった。程よい甘さが体内を駆け巡る。同じ色だし、俺の白血球と仲良くなって欲しい(白血球って白いですか?)これから暑くなる時期に、このミルクセーキのことを思い出すのだろう。

 

 夜になって、明日行く予定の大浦天主堂グラバー園周辺を下見。そういえばオランダ坂も近かった。こういう観光名所は、閉まるのが早い。人気のいない夜の土産物街などを歩くのが結構好きだったりする。

 

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昼とのコントラストもあって、静寂が心地よいこの通りで光る大浦天主堂は非常に美しかった。大浦天主堂から下るとお土産屋さんの通りが続くのだが、

 

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 この石畳の感じ、人気のいない感じで、なんとなく『トレインスポッティング2』でレントンがベグビーから逃げる場面を思い出す。きっとこの石畳を全力で走れば気持ちいいだろう。幸運なことにこの近くにはクラブはないので、イカれたスコットランド人の怒号は聞こえず、ずっと静寂なままだった。本当に外国に迷ってしまったかのような雰囲気を醸し出す道だった。

 

 

 

 

この言葉届いてますか?(『メッセージ』観たマン)

『メッセージ』を観た。 

 

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私の心のベスト10映画である『ブレードランナー』の続編が今秋に公開される。『ブレードランナー2049』というタイトルの続編の監督をするのがドゥニ・ヴィルヌーヴという男だ。実は恥ずかしながら一作も彼の作品を見ていなかったが、彼が作った『メッセージ』で未知との遭遇。この映画、ばかうけのイメージが強すぎるよ。

 

ある日、世界の至る所に、謎の宇宙船が出没するところから物語は始まる。言語学者のルイーズはアメリカ軍の要請により、この宇宙船にいると思われる生命体が発する『メッセージ』の解読に挑む。

 

主人公であるルイーズの回想シーンが随時に盛り込まれていて、ヒューマンドラマ的なつくりになっているが、異星人が残すメッセージを解き明かそうとするミステリー・アドベンチャーな観点が個人的に好きだ。言語学の世界ならではのエピソードが、物語に反映しているのもいい。

 

そして、しっかりと異星人が登場するんですよ!(とても大事なこと)それだけで十分だ。こういうエイリアン系の映画って、異星人の姿を見ること自体が特典みたいなものだ。この異星人の言葉を読み取ろうと試行錯誤するあたりのくだりが好き。

 

この意思疎通という労力のいる行為が、対人間でもしなければならないというのが、もうひとつのストーリーライン。このピリピリした時代で、あんなの来たらそりゃ「対話」だの「意思疎通」だの言ってたら、違う考えも持つ人もいるわけで。言葉があってもなくても、相手の意図を理解すること、通じ合うことは本当に難しい。

 

第一、この情報洪水の時代では、届けることさえも難しいかもしれない。水と言葉は相反するもので、上澄みの綺麗な言葉、必要とする言葉は、沈みがちで、我々は汚水のような言葉ばかりに目が行ってしまう。本当にコミュニケーションって大変だ。タフな時代に生まれたもんだなあと思いながら、もっと大変な作業をしているルイーズを尊敬の眼差しで見つめていた。

 

 

 

 

ってこの思い、通じているのだろうか?

博多・長崎たびの記録9

長崎2日目、宿泊しているホテルの朝ごはんにスムージーがあることに驚く。最近のビュッフェは洒落とる。

 

今日の目玉は、軍艦島。上陸するのは午後からなので、午前中はオランダ坂など、坂という坂をブラブラすることに決めた。オランダ坂の周辺には高校があって、テニス部のラリーの音が聞こえてくる。晴れた空とマッチして非常に心地よい。

 

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昨日であった龍馬の銅像で出会ったおじさんの話によると長崎市はすり鉢状になっていて、低い部分が都心部なのだそうだ。そういう地理が“坂の街”の理由らしい。細い坂道をぐんぐん下っていくと民家の前にいくつものベンチが置いてあって、坂の街の面白さを感じる。休憩用のベンチがまた、このコミュニティのチャットスペースになっているのだろう。

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誰がオロナミンCを飲んだのだろう。

 

https://www.instagram.com/p/BTnLA0ojs6N/

坂の町のヤクルトレディは過酷そう #yakultlady #nagasakicity #長崎

 

坂が多すぎて、自転車に乗れない長崎市民も一定数いるという都市伝説も聞いたがあながち嘘でもなさそうなぐらいの急勾配だ。自転車よりもスクーターで移動するおばちゃんしか見ていない気がする。

 

いい具合に乳酸が溜まってきた頃、軍艦島へ上陸する時間がやってきた。出発前に軍艦島ミュージアムで予習を行う。なんでも、当時の軍艦島の人口密度は世界一だったらしく、当時の東京の約9倍(!)だったそうだ。住民の生活水準も恐ろしく、家電(当時で言えば、三種の神器だ)の普及率がほぼ100%だったとのこと。ちなみに同じ時代の東京の普及率は、およそ10%。廃墟であることにとらわれがちだが、軍雁島は想像以上にハイテクアイランドだったのだ!

 

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船に乗り込み、ガイドさんの話を聞きながら海原を進む。と、とうとう姿を現した軍艦島。昨日の夜、バーにも寄ったとき、そこのお兄さんが軍艦島のモノマネをしてくれたのだが、そっくりだ。

 

軍艦島は、本当にただの廃墟であるが、その歴史を聞くごとに、ひとの姿をどことなく感じてくるのが面白い。保育所やパチンコ屋、ダストシュートがあったこと。人がいなくなれば自ずと時間が止まる人工物の儚さ。

 

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青しかない青空と、波音しかないこの島で、可視化された過去に触れる。