『メッセージ』を観た。
私の心のベスト10映画である『ブレードランナー』の続編が今秋に公開される。『ブレードランナー2049』というタイトルの続編の監督をするのがドゥニ・ヴィルヌーヴという男だ。実は恥ずかしながら一作も彼の作品を見ていなかったが、彼が作った『メッセージ』で未知との遭遇。この映画、ばかうけのイメージが強すぎるよ。
ある日、世界の至る所に、謎の宇宙船が出没するところから物語は始まる。言語学者のルイーズはアメリカ軍の要請により、この宇宙船にいると思われる生命体が発する『メッセージ』の解読に挑む。
主人公であるルイーズの回想シーンが随時に盛り込まれていて、ヒューマンドラマ的なつくりになっているが、異星人が残すメッセージを解き明かそうとするミステリー・アドベンチャーな観点が個人的に好きだ。言語学の世界ならではのエピソードが、物語に反映しているのもいい。
そして、しっかりと異星人が登場するんですよ!(とても大事なこと)それだけで十分だ。こういうエイリアン系の映画って、異星人の姿を見ること自体が特典みたいなものだ。この異星人の言葉を読み取ろうと試行錯誤するあたりのくだりが好き。
この意思疎通という労力のいる行為が、対人間でもしなければならないというのが、もうひとつのストーリーライン。このピリピリした時代で、あんなの来たらそりゃ「対話」だの「意思疎通」だの言ってたら、違う考えも持つ人もいるわけで。言葉があってもなくても、相手の意図を理解すること、通じ合うことは本当に難しい。
第一、この情報洪水の時代では、届けることさえも難しいかもしれない。水と言葉は相反するもので、上澄みの綺麗な言葉、必要とする言葉は、沈みがちで、我々は汚水のような言葉ばかりに目が行ってしまう。本当にコミュニケーションって大変だ。タフな時代に生まれたもんだなあと思いながら、もっと大変な作業をしているルイーズを尊敬の眼差しで見つめていた。
ってこの思い、通じているのだろうか?