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50年代映画定食(『ヘイル、シーザー』観たマン)

映画観たマン

『ヘイル、シーザー』を観た。


映画『ヘイル、シーザー!』予告編

 

舞台は1950年代の映画スタジオである。1950年代のアメリカの映画業界といえば、徐々にその力が衰退に向かっていく時期である。スタジオをドンと構えたハリウッド・システムが崩壊に向かい、さらには新たなメディアであった“テレビ”がアメリカ全土に浸透していく。過去に追いやられつつある中で、新たなローマ時代劇を撮影していた中、主役であるスターが誘拐される事件が発生する。そこから、物語が大きく動き出す。

 

この『ヘイル、シーザー』自体、「映画愛出しまくりな映画」なため、適切に見る難易度は低くないが、逆を言えば、映画史を少しでもつまんだことがある人にはたまらない世界なのではないだろうか。もし、映画史の教科書を持っていたなら、1950年代の項目をペラペラめくってからこの映画に臨むと、すっと展開を読み込めるだろう。

 

要の展開である誘拐事件も見逃せないが、この映画の本当の見どころはスカーレット・ヨハンソンチャニング・テイタムなどの人気どころが劇中劇でやりきっちゃう1シーンである。撮影中の映画の1シーンをまるまる見せつけられるので、別の映画を観たような気がする充実感。四字熟語で表現するなら一口映画。ローマ時代劇に西部劇、ミュージカル、上流階級のドラマ。どれでもついてきます。小鉢がたくさんある定食ってすごい嬉しいじゃん。

 

その劇中映画の中で、取り上げるとしたらなんといってもチャニング・テイタム先生。飛び道具としてのチャニング・テイタム!は最近の流行りなのだろうか。彼は海兵が主役のミュージカルのワンシーンを演じるのだが、もうその世界観が素晴らしい。腐女子が好きそうなバカっぽさを醸しだすし、タップダンスの効果音はとても不自然。何もかもピリピリとしている現代において、20世紀中盤が持っていた大らかさ、荒っぽさを活かした演出が我々に不思議な安らぎを与える。

 

話の終盤になって、その各映画のスターやスタッフ達が巧妙に重なりあって結末に向かう。そこでも、各々のスターの個性が発揮されるのだが、個人的にはカウボーイスターが、ガールフレンドを待つときにブルロープを新体操のリボンのように自由に扱っていたのに感動してしまった。自分も一度でいいからブルロープでかっこつけてみたい。ロープアクションやっているカルチャーセンターってありますか?