砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

令和の張り込み方(『エクストリーム・ジョブ』観たマン)

『エクストリーム・ジョブ』を観た。

www.youtube.com

 

テレビや映画を観ていると「あれって、元ネタなんなの?」と気になる瞬間が生まれてくる。たとえば、刑事ドラマ。犯人を確保しようと、電信柱の影から昼夜に渡って犯人の張り込みを行う先輩刑事、そこにビニール袋を下げて駆けつける後輩刑事。袋の中にはあんぱんと牛乳。たなびくトレンチコート。令和だというのに、2020年だというのに、なんとなくこの画が頭に浮かぶ。

 

景観美化のため、電信柱は地中に埋められ、環境保護のため、ビニール袋は有料化され、失敗できない仕事のために、エナジー飲料が誕生したというのに、僕の中の刑事バディはあんぱんと牛乳で栄養補給しながら、双眼鏡でカーテンの影を凝視している。

 

そんな私の固定概念をぶち壊す映画が、海の向こうから現れた。韓国映画の『エクストリーム・ジョブ』だ。この物語の主人公は韓国の麻薬捜査チーム。しかし、失敗ばかりで解散寸前の大ピンチ。そんな彼らにチャンスが訪れる。犯罪組織のアジトを突き止める。そして張り込み先に選んだのは閉店寸前の揚げチキン屋。チームは、その揚げチキン屋を買い取って、世を忍ぶ仮の姿として営業を開始する。ただ、ひょんなことからその揚げチキン屋が大ヒットしてしまう。まず、屋内で張り込みしてる時点で偉い。トレンチコート要らず。

 

あらすじから察する通り、コッテコテのコメディだ。M-1獲ったときぐらいのNON STYLE並のペースで連弾されるボケの数々に思わず笑い声が出る。コメディの要素がありながら、同時進行で語られるマフィア側のダークなストーリー、刑事モノならではアクションシーン、そして揚げチキン屋として、グルメの要素も包含されている。こんなにジャンルが入り混じっているのに、どれも喧嘩せず、奇跡のバランスで成り立っている。

 

どのジャンルから見てもグッと来るシーンはあるのだけど、特に記憶に残っているのはグルメのパートだ。店の看板商品となる「カルビ風味チキン」を作っていく光景はシズル感ドバドバ。ああ食べたい。このカルビ風味チキンが食べられる日本のお店を探しています。『エクストリーム・ジョブ』がコンテンツ化されたら、家で、このカルビ風味チキンを食べながら、甘辛くなった指を舐めながら鑑賞したい。

 

日本だったら、よくわからない唐揚げの組織の定めたコンテストですぐ金賞を受賞できるはず。渋谷、原宿、新宿、新大久保を始めとしてチェーン展開されるはずだ。っていうかあの組織はどんだけ唐揚げ屋に金賞を配ってんだよ、インフレ起こしてんじゃねえか。誰か、組織の前で張り込んで捜査してくれ。