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『マジカル・ガール』観たマン

『マジカル・ガール』を観た。

  


映画『マジカル・ガール』予告編

 

なんとなくいつもの感じで乗った電車が、目指す駅と全く違う方向であった。動き出した途端に、違和感に気づくのだが、残念ながらその電車は特急でなかなか戻ることが出来ない。そんな経験を何度かしたことがある。『マジカル・ガール』というスペインの映画を観たあとになんとなくこの経験をしたときに近い気持ちだった。こんな「なかよし」的なタイトルに惑わされてはいけない。もう、すれ違いははじまっているのだ。

 

白血病の少女・アリシアは日本のアニメが好き。そのアリシアが抱く「魔法少女ユキコ」のコスチュームが着たいという夢を知った、父親のルイスは、叶えるための行動に出る。。。。と、ここまでは心温まるヒューマン系かと思いきや、ガッタン。ルイスが宝石店のショーウインドウの前で、大きい石を持ってからレールはあらぬ方向へ。ヒリヒリする展開に『マジカル・ガール』なんて題名はどこかへ消えてしまう。

 

冒頭はアリシアが「魔法少女ユキコ」のアニソンで踊るカットから始まる。アリシアの踊りはシュールで、このアニソンもどこか耳に残る。エンドロールで出てきたタイトルをもとに検索をしたら・・・な、長山洋子!?


長山洋子「春はSA-RA SA-RA」

 

長山さん、そんな歌うたってたんですか。勉強不足でした。しかもフィンランドの歌手のカバー曲なんですね。フィンランド→日本→スペインと国境を超えて熟される昭和アイドルソングは確かに心地良く、日本人の私の耳には懐かしさを覚える曲なのだが、この『マジカル・ガール』の中に落とし込まれると、どこか不気味に聞こえる。きっと外国人には日本語ってこういう風に聞こえているんだろうな。この「魔法少女ユキコ」が持つ世界や、蝉の鳴き声などの日本的な描写が、冷酷な印象を与える。

 

こういう展開の話って、きっと好き嫌い分かれそうだ。(私は、間違いなく好きだ。)体力100%で満を持して鑑賞するより、少し疲れてから見た方が心に突き刺さる映画だ。