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『繕い裁つ人』観たマン

『繕い裁つ人』を観た。

 


映画『繕い裁つ人』本予告 - YouTube

 

観たのは2月1日。そういえば、映画の日で1,000円だったと思い出して映画館へ。

チケット売り場は引くぐらいの長蛇の列。人混みが嫌いな自分は、少しこの列の一部となるのはとても怖かったけど、どうしても映画を見たくて見たくてしょうがないモードだったので、窓口に来たタイミングで、すぐ観れる映画を選んだ。

それが『繕い裁つ人』だったというわけで。

まっことに予備知識もなにもかもない中での鑑賞も楽しい。

 

『繕い裁つ人』は、坂の上にある仕立て屋さんが舞台の物語。

本当に、服を自由自在に作れる人、仕立てられる人の技術ってすごいと思う。小学校の時、家庭科の時間で裁縫の授業があったのだが、類まれなる不器用センスの自分は普通の縫い方さえもまともに出来なかった。一回縫う動作をしただけで、糸がぐちゃぐちゃになるので、半べそかきながら授業受けてたし、ミシンの授業では地獄のように上下するミシンの針に恐怖を覚え、巾着を作る実習では結局友達にミシンを操作してもらっていた・(でも、ボビンのフォルムと触り心地は好きだった。)そんな鬼レベルの作業を容易くこなしてしまうんだから尊敬。

 

主人公・2代目洋裁店主、市江を演じる中谷美紀の布をまさしく「繕い裁つ」さまが神々しい。仕立屋の作業場に差し込む太陽と、大きな机やミシンを相手に美しい手つきで服を作り上げる無言のシーンに息を飲む。きっと天女の羽衣はこういう人が作ったのだと思う。家系図を辿って行ったら、その地域の天女伝説に何らかの因縁があってほしい。

 

その作業で生じる音も心地よい。机いっぱいに広げた布をはさみで裁つ音。大きいミシンの稼動音。その作業場の掛けられている時計の針の音。都会だと、まずかき消されてしまう(というより都会に存在していないかも)音にうっとりしてしまった。まるで生活の脈音を聞いているかのような。時代設定は現代だけども、この映画にはスマホもPCもほとんど出てこない(自分の中で確認できたのは1,2シーン程度)。過言かもしれないけど前近代な雰囲気なのだ。このレトロな世界観が、自分の心のなかにあるタイル舗装(しかもガムつき)されている箇所を木造のきしむ床にしてくれる。

 

そういえば、監督の三島有紀子さんの『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』でもレトロな世界観が息づいていた。前2作がレトロ×自然なら、『繕い裁つ人』はレトロ×郊外か。

いい意味で文明に適応しなかった(しなくてもやっていけた?)秘境的な魅力のあるコミュニティに住む人物達の生活が羨ましい。

 

個人的に、この映画の中で特に気になるのが、「珈琲店サンパウロ」だ。とにかくあのチーズケーキを口いっぱい頬張りたい。そして苦い苦いコーヒーをすすり、チーズケーキに少し染み込ませつつ流し込みたい。

エンドロールを見ていたら、その「珈琲店サンパウロ」の文字が!え?実在すんの?

早速ググらさせていただいたら、神戸にあるとのこと。こんな記事も発見。

 


神戸が制作拠点の映画「繕い裁つ人」-三島有紀子監督が来神 - 神戸経済新聞

 

サンパウロ」以外にも神戸のあちこちで撮影か。湧き出る神戸への旅行欲。

と、同時に「来神」という熟語にびっくりしてしまった。初めて見た。「来日」「来阪」より全然かっこいいじゃん!Coming God!

神奈川に来ることも「来神」になると一瞬過ったけど、「来神」と比べるなら「来横」だ。げぼださい。

神戸と横浜、似てるところはとても多いと思うけど少なくとも「来◯」対決では神戸の圧勝。ああ、ますます「訪神」したい。。。