YUTRICKさんが一首入魂企画を開催されていたので、私も参加させていただきました。自分の作品、投票した作品についていくつか書きたいことがあるので書かせてください。
↓一首入魂企画はこちらの記事から
まずは、私の作品から制作意図などをもろもろと
短歌っていろいろな作り方があると思うんですけど、これに関しては“言葉先行型”で作りました。「ねるねるねるね」って七音ということもあるし、すごい短歌にフィットしやすい単語だと思うんですよ。その「ねるねるねるね」をフックに何か作りたいというのがきっかけです。「SNS」も「ねるねるねるね」との音の響きの組み合わせが面白いので、決まっていったという感じです。「ねるねるねるねのSNS」というブロックが出来たところで、この下の句から漂うイメージを探していきました。
物心ついた時からインターネットがあって、掲示板、ブログなどを通ってSNSまでたどり着いたけど、結局Webの中でやってること、書いていることって変わってないし、SNSが出来たことでより心地の良いコミュニティの中だけで生きている自分がいるなあという感じです。ガキんちょのままで成長していない幼稚性を出すために濁音を使わないようにしました。
しかし、こうやって時間を置いてみると「ねるねるねるねのSNS」を動かさないとして、もっとピンポイントでハマる上の句があったんじゃないかなあと反省しております。ねりたりなかったですね。
そして、以下の作品に投票させていただきました(敬称略)
おめでとうなんでもない日!それとアリス、誕生日にも一緒にいたい (中村ユイ)
またあしたまたあしたって手を振って疑わぬのだ 打ち水に虹 (岡本真帆)
中村さんの作品なんですが、ひとつひとつ作品を拝見する中で、群を抜いて惹きつけられました。「おめでとうなんでもない日!」って、ふしぎの国のアリスの一節(Unbirthday)をもとにしてると思うんですけど、海外のお伽話の持つ言葉のパワーが注入されたこの12文字で心の襟をがっと掴まれました。感嘆符も非常に効いています。そのあとに続く「それとアリス、誕生日にも一緒にいたい」で、毎日一緒にいてほしい気持ちをアリスに伝えるプロポーズのような展開へと続きます。相聞歌になっていますが、いわゆる「相聞歌」という言葉ではイメージ出来ない海外のカップケーキのようなポップなカラーが際立つ作品だと思います。
岡本さんの作品は、まずリズムがいいですよね。「またあしたまたあしたって手を振ってうたがわぬ」のタ行が織りなす心地よさ。「またあした」のリフレインや「打ち水」というワードから、日常的な一コマが思い浮かびますが、最後の「虹」がアクセントになっていると思います。「虹」って、不安定でぼんやりとしたポジティブなものの象徴だと思うんです。その「虹」を生活行為の「打ち水」と組み合わせることで、当たり前につづく(=「手を振って疑わぬ」)と思っている日々は「虹」のように不確実なものであるというメッセージを感じ取りました。日々が続くことの奇跡、素晴らしさを表現している作品なのではないでしょうか。
と、うだうだ書かせていただきましたが、また、YUTRICKさん主催のイベントあれば参加させていただきたいと思います。