砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

キングオブコント2016について書かせてください

昨年に引き続き、今年も書かせていただきますよ。私の感じたままにずらずらと。

 

今回、見えてきたのは、松本人志+さまぁ~ず+バナナマンの5人だけでなく、もうひとりの審査員の存在が、かなり重要視されていたということ。それは観客である。

この、観客の悲鳴で大分、潜在的な点数は左右されたのではないかと思う。特に狂気系で勝負した、かもめんたるや、かまいたちなんかには不利になったんじゃないかなあ。狂気に引く、ってもっとお前らコント見ろ!って言いたくなる気持ちはぐっとこらえるよ。

 

ラブレターズやななまがりの様な、一発狙いのコントはやはり低調だった。旧採点方式だったら、なにか起こりそうだけどね。ただ、ラブレターズのやつ、めっちゃ好き。あれ、1分刻みとかでやったら絶対楽しい。

 

そして、声を大にして言いたいのがトップバッターのしずるの完成度だろう。あのコントはもっと評価されるべきだと思う。しっかりフリで溜めての無敵モード突入。かつ、しずるの青春フレーバーを味わえる4分間だった。1回戦の5位だったかもめんたるとたった1点差。本当に順番が悪いとしか言いようがなかったというか。せっかくだから見にきた観客100人に「面白い」と思ったらゴルフボールを転がすように言ってあげればよかったのに。

 

1回戦で頭一つ抜け出したライスとジャングルポケットが優勝争い。どちらも、しっかり舞台コントをやっていて、ウケたというのがでかいと思う。ただ、差が出たのは2本目である。ジャングルポケットの2本目はなんだか“テレビコント”な印象があった。心理描写が甘いというか、展開に深みを感じないというか。このテレビコントを上手く説明できない私が悪いのだが、思えば去年のロッチの2本目も私の名付ける“テレビコント”であった。

 

それに比べてライスの2本目は、ボケとツッコミががスイッチする瞬間にハッとしたし、そこからの展開の畳み掛けが非常に美しかった。言葉遊びも巧みだったし、見返してみたけど、思ったより圧勝だった。

 

去年と今年のKOCで、確実に“玄人ウケ”が通用しないし、かといって大衆に伝わるような甘めな設定にすると、審査員の点数が伸びない。これは洗練されたコントが評価されるいい空気感になったのではないかと。展開8:アイツバカだなあ2ぐらいの比率がいいのかなあ。

 

というわけで、まとまらないまま書いてみました。

 

子供→14歳→大人(『グッバイ、サマー』観たマン)

『グッバイ、サマー』を観た。


ミシェル・ゴンドリー監督の青春ムービー!映画『グッバイ、サマー』予告編

 

エターナル・サンシャイン」などでおなじみのミシェル・ゴンドリー監督の最新作。ゴンドリー的世界観を、経済活動人になっても忘れてはいけないと思っているので、見てきました。

 

この世界にもやもやしているダニエルと、転校生のテオによるド青春のロードムービー。主人公のダニエルが考えることは、自分、母親、好きなあの子、性。これって、どの国の14歳の男の子も一緒なんだね。テオはとにかく面白さへのアンテナが敏感。画廊のシーンは今度やってみたいと思います。あれ、絶対楽しい。「甘酸っぱい」とは違う、等身大の、でもミシェル・ゴンドリー的ファンタジーが存分に散りばめられているお話。iPhoneと土のくだりとかずるい。

 

物語の重要ツールとして、“ログハウス調のお手製車”が出て来る。それこそがゴンドリー的DIY!夢と工夫が満載なのである。とりわけ“ログハウスモード”になる場面が本当に愛おしい。男の子って変形好きだよね、俺も好き。このログハウスモードが、世界中の大人と、だるまさんがころんだをしているようなのだ。世界を手作りできると信じている14歳の冒険で、彼らは大人側に近づいていく。

 

しかし、こう14歳を懐かしいなあと想いながら、勝手に自分と、この主人公たちを重ね合わせていることに気づいて、私が大人になったんだなあと自覚してなんだか寂しくなった。思春期も、きっと思夏期も過ぎてしまったんだ。人生の季節は繰り返さない。

 

14歳なんかとっくに過ぎていて、きっと全力ではなかった。当時のエネルギーを使い果たしていないのだったら、今日の自分に少しばかり還元してほしいと思うのは、虫が良すぎるか。子供の最終年齢である13歳のときにあらかじめ教えてほしかった。

 

 

「冬眠明け」と「秋」(短歌の目第11回)

短歌の目復活!!いやはや、待ち望んでいました。

第1期生(ということでいいのだろうか)として素敵な短歌を作ってみせるさ。

 

tankanome.hateblo.jp

 

今回も、第1期のように題詠の5首については、ひとつの繋がりになるように作ってみました。タイトルは「冬眠明け」でございます。冬眠から目覚めたときの第一声ってどんな言葉がでるのでしょうか。

 

 

1. 星

首元の彗星みたいなあざだけであたしはあなたに分類される

 

2. 吹

吹く風が冷たくなって「また来たね」「また来ましたね」 眠気の季節

 

3. はちみつ

こそこそとそうとう高価なはちがつのはちみつたべたらコンドレマンドレ

 

4. 川

澄み切った川面に映る前足は百人一首の王者のようで

 

5. 秋刀魚

この川にも秋刀魚を流していただきたい あなたの得意なテクノロジーで

 

 

テーマ「秋」

秋の雨サラダボウルを傘にして橙の森をかき分けて行く