砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

五感とデジタルとアナログ

フラッとお散歩していたらこんな個展が開催されていたので、行ってみたらめちゃくちゃ面白かったので書かせてください。

 

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神奈川県民ホールギャラリーで来年の1月17日まで開催されている

八木良太さんの個展「サイエンス / フィクション」

lyota yagi | 八木良太展「サイエンス/フィクション」 神奈川県民ホールギャラリー

 

このポスターに魅せられてほいほいとギャラリーへ。自分の嗅覚を信じて大正解。

「サイエンス/フィクション」展で自分が感じた面白さは、通常の五感を制限・変換することで発生する非日常的刺激。

無意識のうちに視覚・聴覚・触覚を複合的に使用して生活をしていることを再発見。

 

特に自分が衝撃を受けたのをいくつかご紹介。

 

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ただの椅子の横にヘッドホンが。

ヘッドホンから流れる音は、聞き覚えのあるドリル音と水を吸い込む音。

この「Dental Music」からは、歯医者での環境音を聞きながら椅子に座るのだ。

歯医者の音を聞くだけで、体は軽い拒否反応を起こし、唾液がじわじわ出てくる。

嫌な音なのに、ただこの環境音ひとつだけで、「患者としての体」になっているのが面白くてなかなか席を離れられない。

五感を複合的に活用している日常から、1部分しか照合してないのに順応する体の都合の良さ。

 

ちなみにこの歯医者の席の隣には、

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美容室があります。

ひたすら髪の毛を切る音。

音だけなのに、耳周りにはさみの重冷たい触覚を感じる。

 

Ice record!!

 

これこれ!氷でできたレコード。1億総SNS時代にて思わず拡散したくなる芸術。

レコードをかたどったシリコンに水を入れて凍らせたものだそうで、音は動画で流れる通り。「記録するもの」であるレコードが時間とともに消えてしまうはかなさ。この氷のレコードは、どこか人間的というか、「記録するもの」よりも「記憶するもの」に近いのかな。

 

これ超楽しい。

 

白紙のノートブック。右上にはバーコードがついていて、それを読み込むと動画が流れる仕組み。

近未来的な仕掛けなアナログとデジタルの真っハーフ。現代のレトロフューチャーってきっとこんなのが最先端なんだろう。しかしこの作品、ページごとに映像が違うので、どんどんめくりたくなる。

 

レコードとかバーコードとかこの個展は、どこか「コード」に何か発見するヒントが隠されているのではないかと思ったんだけどスペルはrecord、barcodeで微妙に違っているし、この「コード」の由来も異なるみたい。

Weblioによるとbarcodeのcode(=記号)はラテン語で「書板」という意味がもとになっているとのことで、recordのcordはラテン語で「心臓・胸」という意味。

接頭辞re-は「繰り返す」ことを表すから、すなわちrecordというのは「心臓をもう一度動かす」「再度、息吹を与える」というニュアンスに近いのかな。

そう考えるとさっきの氷のレコードとかまさしく「心臓に再度息吹を与える」という意味ではまさしく「レコード的」というか、心臓なんだからいつかは止まってしまうんだ。なくなってしまうんだ。これってアナログの本質かな。

 

 

 

 

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おしまいSelfie