砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

なんかいろいろ(ちょっと前に見たものとか)

今まで全く気にならなかった情報が、とあることがきっかけで途端に関心を持つようになることがある。この春、とうとう私は「ジャムーティー」という言葉を検索するようになった。今まで花粉症的な症状を感じたことがなかったのに、気温が暖かくなるにつれて目の辺りのかゆみが強くなってきたのだ。思えば、2月頃の天気予報で「2023年の花粉は例年と比べて非常に多い」と言っていた気がする。とうとう春の苦悩と対峙することになるとは…

 

とはいえ、花粉症デビューしたことを誰にも打ち明けられずにいる。理由は恥ずかしいからだ。今まで、非花粉症側でマイノリティーであったのに関わらず、このタイミングで花粉症デビューで季節柄の自虐することがなんだか恥ずかしい。30過ぎてタバコ吸い出す男なみにバトリオンモンスターズカードのモデルになっても良いと思っている。

 

我慢できているので、おそらく軽症レベルなのだろう。なるべく目を人前でこすらないように注意しながら、「あたたかい」以外の感情を持たずに過ごすようにしている。また職場ではベテラン花粉症患者のくしゃみがとどろく。

 

そんな春の猛威に戦いながらも、あいも変わらずエンタメを摂取している。

 

SNS上で話題になっていたAマッソ×大森時生のライブ「滑稽」は配信で見た。とてつもなく恐ろしいライブであった。笑うことの背景について考え出すと一瞬思考が停止してしまう。

 

Aマッソの漫才から始まるライブだけど、ネタの幕間に流れる映像が、Aマッソの二人と全く関係のないとある施設での様子なのだ。その施設での人々の出来事や、明かされる事実に観客は混乱するのだけども、徐々にAマッソのネタと幕間の映像が繋がり始める。

 

今、自分が過ごしている生活に必要のない不穏なものがAマッソの糖衣を通して近づいてくる恐怖が押し寄せる。とある世界の秘密を知りかけている頭の中は混乱状態だが、Aマッソのネタは淡々と続いていく。純粋に笑っていた数分前の自分を猛烈に否定したくなる。

 

会場に行っていた人の感想スペースを聞いていたのだが、リアルはもっとおぞましかったらしい。(そして、肌で感じられた方々がうらやましい)モキュメンタリーをその場で体験できる時代までとうとうやってきた。と、同時にいかに幸せな日常が、異世界と隣り合わせであることに気付かされる。

 

東京03 FROLIC A HOLIC feat. Creepy Nuts in 日本武道館 なんと括っていいか、まだ分からない」は武道館まで見に行った。満パンの武道館で見たライブは日本のエンタメのひとつの到達点だったと思う。括るとしたら「最高の芸能」か。

 

コント、HipHop、声優、アイドル、ラジオ、ジャズにおける日本のトップオブトップが集まってひとり残さずその魅力を遺憾なく発揮しているならば、そりゃこんな面白くなるよと絶望に近い優越感であった。私はオークラさんや佐久間さんのエンタメで育ってきた自負があるから、なおさら日本の頂点に立った彼らを見て震えていた。

 

特に、この一連の中心となるR-指定が主役のラップミュージカルがすごかった。お芝居をしながらも、心情のひとり語りをラップで表現する。新しい落語のようにも見える。R演じる主人公に待ち受ける展開も「メジャーデビュー指南」が透けて見える。その主人公を取り巻くキャラクター陣も一癖も二癖もあって良い。とくにノブコ。きっと円盤での発売があるから早く逢いたい。

 

私は1日目の公演に行ったのだけど、この日にしか出ないオードリー若林氏の大立ち回りに痺れる。「キンワカ60分」が好きだからだろうか、若さんが欽ちゃんばりに無茶振りを東京03にかましているのが最高であった。リアルな世界観のおかしさvsトライアンドエラーのおかしさのぶつかりあいが作り上げていく即興の舞台を肉眼で見れただけで至福だった。