砂ビルジャックレコード

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ずっとホリデー(『パーム・スプリングス』観たマン)

『パーム・スプリングス』を観た。

 


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あいにく、今年のゴールデンウィークも旅行には行かず、家で過ごすことになっている。インドア派の私には、それほど苦でもないのだが、ゴールデンウィークが終わりに近づくと苦しみが襲ってくる。好き勝手に過ごしたから体内時計は狂っているし、日常に戻るのが億劫になる。このまま休みが続くのも悪くないんじゃない?と暦に提案してみる。ゴールデンマンスになり、ゴールデンイヤー、ゴールデンディケイドとなるなら最高だ。黄金は光り輝き続けていてほしい。

 

そんなキープ・ゴールデンの夢を叶えてくれるかもしれない?のが、『パーム・スプリングス』という映画だ。パーム・スプリングスとはカリフォルニアにある砂漠のリゾート地帯。ここで行われる妹の結婚式に出席するサラがヒロインだ。その結婚式で最高のスピーチをしたナイルズと、いい雰囲気になるが、突然ナイルズが弓矢で襲撃されてしまう。襲撃後、這々の体で洞窟へ逃げるナイルズを追ったサラだったが、不思議な洞窟の光を浴び、目覚めると、妹の結婚式当日の朝に戻ってしまう。そこでナイルズから、結婚式当日の日を何度も繰り返されることを告げられる。

 

いわゆるタイムループものなんだけど、不幸な状態が続く環境から何度も脱出を試みるみたいなものでなく、ひとつの幸せの臨界点である結婚式当日が何度も繰り返される設定が新しい。あらゆる感情を経験したというタイムループプロのナイルズが、新入りのサラを引き連れて、何度もプレイしたゲームのコースでハイスコアを取るようにあの手この手で色々と遊びまくっているのもなんだかいい。豪邸のプールに、ピザのデザインのエアマットを浮かべて、お酒を飲んでチルしているナイルズが画面に現れるだけで、不思議と心が癒やされる。

 

「幸せな日が何度も続く」という状況であるが、それが幸せかどうかが、キャラクターによって異なるのも見どころだ。そりゃ何度も繰り返していたら飽きてくるのは自明のことだ。この結婚式の一日から脱出しようと画策したり、やっぱ諦めたりする展開もあって、物語がどう進んでいくのか常にハラハラする。

 

黄金に光り続けるゴールデンディケイドを一瞬夢見ていたが、刺激がなくなってくることを考えればどうしても飽きてしまうんだろうなあと、憂鬱な気持ちが勝ってきた。もし、繰り返される1日がひねもす大雨の日だったら、気分は下がりっぱなしだ。自分も他人も環境も変化のある生活だからこそ、彩りが生まれるというものだ。と、綺麗事を並べてみたけども、小説も漫画も音楽に、映像作品を、一生かけてもすべて見ることが出来ない現代じゃ、ずっと繰り返されるホリデーも案外良いのかもしれない。