『ティーンスピリット』を観た。
ひとりの部屋で流す音楽ほどの精力増強剤ってあるのだろうか?家に戻ってきて、居間の灯りをつける。アウターを脱いで、手洗いうがいをしたら準備完了。かけたい音楽を大きい音量で再生したらショータイムのはじまりだ。きっと誰も見ることはないけど、いつかお披露目する機会があるといけないから、悔いの残らないダンスをする。
『ティーンスピリット』は、主人公のヴァイオレットが外に座りながらiPodで音楽を聴いている場面からはじまる。彼女は学校に馴染めない内気な性格。バイト先のダイナーのステージで歌いながら、歌手として活躍することを夢見ている。そんなヴァイオレットの住む街にオーディション番組「ティーンスピリット」の予選会が行われることを知ったヴァイオレットは、このオーディションへの参加を決意する。
夢をつかもうとする少女・ヴァイオレットを演じるのは、エル・ファニング。そう、ぼくらのエル・ファニングだ。それはつまりどういうことか?そうです!ご名答!歌ったり、踊ったりするエル・ファニングが画面いっぱいに観られるのです。正直、話の展開なんて、なんとなく想像することが出来るでしょう。王道のシンデレラストーリーです。ただ、そんなことはどうでもよくって、『ティーンスピリット』はエル・ファニングの躍動を視細胞満タンに焼き付けて愛でる映画なのだ。
美声を響かせるエル・ファニング、緊張した面持ちのエル・ファニング、酔いどれるエル・ファニング、そのどれもが愛しいのですが、なんてったって一番の見所はNo Doubtの"Just A Girl"を爆音で聞きながらベッドの上で踊り弾けるエル・ファニングさんなのです。 ひとりの部屋でショータイムは万国共通のプレジャー。
こんな爛々と踊るエルとフェスに行ったら、、、みたいな妄想が膨らむ。もうゴリゴリの登山スタイルで挑む私に対して、比較的軽装でやってくるエル。でも、足元は履きなれたコンバース。こいつわかってると内心頷きながら祭りの国へ。お酒も大分入って、箸が転げただけで踊りだしそうな幸福感の中、お目当てのグウェン・ステファニーの時間。そして、あの曲のイントロが鳴り始める。ぼくはスクリーン越しに観たあの光景と同じものを観ていることに泣きそうになる。そして、ひとりの部屋で踊っているように音楽に任せて体を動かす。すべてはこの日のためにあったのだ。
そんなことを家で考えながらイヤホンから爆音で"Just A Girl"を流して舞っていた。檸檬堂うまっ。