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歴史になって分かること(『ジョジョ・ラビット』観たマン)

ジョジョ・ラビット』を観た。


タイカ・ワイティティ監督がヒトラーに!映画『ジョジョ・ラビット』日本版予告編

 

子供の頃に、ピンときていないことが、今振り返ってみると歴史のとんでもないひとコマだったということがある。関東に住んでいた私の場合で言えば1995年に起きた2つの出来事がそれにあてはまる。ニュースでみんながわいわい騒いでいるという記憶があるぐらいで、大変なことが起きているということはわかっているけど、それがどういう影響を与えていたのかわからなかった。少しずつ年を経るにつれて、多少であれ被害にあった人の話を聞く機会が増えて、ようやく大事と認識していく。あの頃の私は近くの公園で必死にブランコを漕ぐことしか出来なかった。

 

ジョジョ・ラビット』のジョジョもなんとなく、自分を取り巻く環境や起きている事の重大さをわかっていない。第二次世界大戦中のドイツで、少年兵士としての訓練を受けるジョジョだが、うさぎも殺すことができなくてヘナチョコ扱いされてしまう。そんなジョジョと周りの人々、そして"空想上の友達"であるアドルフ・ヒトラーとの戦時中の日常を描いた作品だ。

 

戦時中の日常を描いた映画だと『この世界の片隅に』が記憶に新しいが、その頃距離を隔てた同盟ドイツの国民たちはこう振り回されたのかと考えると、不思議とシンパシーを感じてしまう。

 

 

主人公である10歳の少年・ジョジョの目線で話が進められており、ポップでマジカルなタッチで描かれている。空想ヒトラーとともに暴走するジョジョや、吹き込まれたユダヤ人の"悪魔"っぷりを信じ込むジョジョ。有り余るエネルギーで戦時下のドイツを生き抜くジョジョが微笑ましい。

 

さらに愛くるしいのが、彼を取り巻く人々だ。風のような自由さを持った母親のロージージョジョの家に匿われたユーモアたっぷりのユダヤ人・エルサ、同い年の友達・ヨーキー、ヒトラーユーゲントの指導役・クレンツェンドルフ大尉など強烈なキャラクターたちとジョジョとのやりとりはずっと見ていたくなる。本当に戦争映画か?

 

ただ、そのように日常をコメディチックに描いているからこそ、突如、介入してくる大人たちの無慈悲な行動が悲劇となって心に突き刺さってくる。その手はジョジョの周りにも及び、彼の周辺にも色々な影響を与えていく。現在の私達は、このあとどういう結果になるか知っているからこそ、見るのが辛くなってくる。そういう経験のもと、段々と、事の重大さを感じ取り、大人の顔つきになってくるジョジョだけが唯一の希望だ。

 

 

オープニングではビートルズの楽曲、エンディングではデヴィッド・ボウイの楽曲が流れており、踊りたくなってしまう。しかも本人が、ドイツ語の歌詞で歌っているというのが面白い。イギリスのモンスターミュージシャンが、なぜドイツ語版を出すことに至った理由や、その楽曲が与えた影響を紐解いてみると、新たな発見があった。ただの反戦映画だけでなく、戦後のドラマについてもそれとなく提示してくる演出にニヤッとした。振り返ってみて気づくことっていっぱいある。

 

 

 

takano.hateblo.jp