砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

タピオカン侵略戦争

とうとう、タピオカミルクティーを飲んでしまった。梅雨明けの暑さにも負けてとうとう手を出してしまいました。自首します。横浜中華街や台湾でタピオカミルクティーを飲んだことはあったけど、現在の日本に吹き荒れる雹のようなタピオカドリンクスタンド乱立ブームに負けじと耐えてきたのだが、とうとうその波に私も飲まれてしまった。飲まれて飲んでお腹タプタプまで飲んで。河島英五

 

しかし、雨後の筍みたいなタピオカ屋さんの勢いが凄まじい。とうとう自分の家の徒歩圏内にも出来た。怖い。東京の都市部に行けば、どこに行ってもタピオカ屋が等間隔でそびえ立つし、もうこれは一種の監視社会だ。パノプティコンだ。逃走中のミッションに失敗して100体のハンターが放出されたらこんな感じなんだろうな。誰だよ自首したの。

 

看板でもネットでも、タピオカという文字が目について、ゲシュタルト崩壊してきている。大きい文字でデンと書かれたタピオカと見ていると、あることに気づいた。

 

 

タピオカ

 

 

「タピ」の2文字に注目すると「死」という文字に似ている。 そのことに気づいた瞬間、私は最悪の終末を想像した。「タヒ」の横につく不自然な半濁音。これがタピオカなのだ。タピオカが死を司る悪魔であることを示唆しているのである。

 

甘くてもちもちした黒光りする顔の裏には、とんでもない野望が隠れていた。それはタピオカによる人類の制圧、地球の侵略だ。徐々に増えるタピオカドリンク店が増えているのも、私達、人類のデータを集めるためだ。いかにも低コストで儲けたい人類を見つけては洗脳する。タピオカドリンク店を開業させ、監視システムさえ作り上げれば、あとは戦略に則って、着々と残りの人類を支配していくだけ。

 

一部の人類は、その陰謀に気づいたが、すでに残りの人類の脳はタピオカのようにぷるぷるにされてしまっていた。すぐにミルクティーで出来た風呂に入りたがって話にならない。自然環境にも問題が起きていて、砂浜に打ち上げられた大量のタピオカをBBCが報じている。エベレストもタピオカだらけのようだ。ここまで来たらタピオカとまともに戦っても勝ち目はない。苦渋の決断だが、新たな惑星へ移住しよう。

 

東シナ海近くにに突き刺さった巨大なプラスチックストローを滑走路に、僕ら一部の人類は球状の方舟に乗り込み、地球を勢いよく脱出する。きっとまた、ぼくらの星に帰ることができるさ。何の説得力もない言葉だけど、こう言ってみんなを勇気づけることしかできなかった。黒く艷やかに光る地球はだんだん小さくなって見えなくなった。