この年になっても初めて知る日本語、初めて知る漢字があるというのは嬉しいことだ。私が巡り合ったのは、「猋」という漢字。犬を書いて、犬に犬である。読み方は「ヒョウ」。犬が3匹いるのにネコ科。意味は、「犬が群がり走るさま」だそうだ。犬という字を3つ重ねて群れを作り出しているのか。
3つ重ねる手法は「森」が有名だ。群れを表す策として最低限同じ漢字が3つ必要というわけか。そらだいたいのものは3つあれば物足りる。三角形だって文殊の知恵だってPerfumeだって2つじゃだめなんだ。かといって4つだって多すぎる。一、二、三と棒を重ねるだけだったのにいきなり四になるのは、単純に棒線を数えるのがめんどくさいからじゃないか。数え間違えても大変だし。やはり、先人の考え方は合理的だ。
「猋」や「森」のように同じ漢字を重ねて、新たな意味を成す字のことを「理義字」というそうな。嬉しい。またひとつ新しい日本語に出会うことができた。先人はWebの使い方も上手でウィキペディアに「理義字の一覧」が載っていた。よだれが止まらない。
「品」「晶」のようなおなじみのやつらも理義字の一味だったとは、お前らは意外な一面を隠していたんだな。一覧を眺めると「猋」のように、動物・生き物を3つ重ねた漢字が多いことに気づく。「犇」「蟲」「贔」とかろうじて見たことがあるやつらもいれば、「驫」「鱻」のように画数多めの動物でできた理義字もあった。ちなみに「驫」は「猋」と同じような使われ方で「馬が多く走る様子」という意だそうだ。読み方は「ヒョウ」、、犬も馬もネコ科だった。
えぐい画数の理義字も見つけた。「龘」。龍を3つ重ねるという中学生的発想。こんなんジャポニカの漢字練習帳に書いたらノートも小指の付け根も真っ黒になってしまう。意味は、「龍が空を行く様子」とのこと。己の人生で使う場面はいつか現れるのだろうか。「キングギドラ」という意味ならまだ使うチャンスはありそうなのに。
話は「猋」に戻って、ふとある曲の歌詞を思い出す。
お金持ちが同じ犬3匹
引き連れて華麗にwalking毎日ーSummer Holiday / chelmico
この情景描写も見事だが、待ってくれ。1匹だといいが、犬が3匹揃うと走り出すんだぞ?彼らのスピードにお金持ちはついていけるのか?大型犬の777なら、そこらへんのデカ帽子マダムは引きずられて跡形もなくなってしまう。せめて2匹にするんだ。3匹だと融合がはじまってしまう、、、走り出す前にそのリードを離すんだ!すべては命のために、、、、、あれ、起きない。なぜなんだ?
「鑫」・・・「金銭や財産などが多いさま」
金も理義字モードを持っていたのか。そら犬もゆっくり歩きますわ。「金」も3つまとめるなよ中国人。マイケル・フェルプスかよ。