砂ビルジャックレコード

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コリンとニコール2連(『聖なる鹿殺し』観たマン)

『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』を観た。

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「しかめっ面」という言葉の語源をご存知だろうか。よくドラマなどでお金持ちの居間に鹿の首を剥製にしたものが壁に飾ってるのを見たことがあると思うが、その鹿の剥製がこの言葉を生み出した。昔のこと、お屋敷に招待されたある男(お金持ちがない)が、その鹿の剥製を見て、余りのインパクトの強さに眉間にシワを寄せたまま、顔の表情を変えられなくなってしまった。ということから転じて、そのような表情を「しかめっ面」と呼ぶようになったそうな。薄々気づいていると思うが嘘だ。

 

この『聖なる鹿殺し』は猟師の映画でない。ある執刀医とその家族に降りかかる事件を描いた心理的スリラーだ。医師を演じるコリン・ファレルが、亡くなった患者の息子から作り話のような予言を告げられた瞬間から、ある信じられない出来事が立て続けに起こりはじめる。コリン・ファレルの妻を演じるのはニコール・キッドマンだ。そういえばこの前観た『ビガイルド』にも、この2人が出ていた。違う映画に短期間のスパンで共演するなんて、、、なんだか「ふふふ」という感情だけ湧いている。この感情が湧いたところで世界が変わることは決してないのだが、なんか嬉しい。

 

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不条理な展開に巻き込まれてしまう一家の発端を作ったのが、担当していた患者の息子だ。『ダンケルク』にも出ていたビリー・コーガンがその役だが(この人のことはラフレクランのきょんに似ているから勝手に「きょん」と呼ぶことにしています。)きょんの演技がおぞましい!まるで呪いの営業マンのように流暢なしゃべり口で恐怖を与え、執刀医の家族を崩壊に追いやろうとする。目をつけられたら最後。きょんの言葉は決して脳内から消えることはない。

 

そう考えると、医師vs呪術、科学的vs非科学的という構図が見えてくる。答えを探そうとするなかで明らかになる事実。綺麗に整理されていたはずの世界が壊れだしたとき、そこにあるのは信じたくない人間の不完璧さである。この不完璧な人間が持つ後味の悪さに眉間のシワ歪みっぱなしだった。自然としかめっ面したくなる映画なのである。