『スーサイド・ライブ』を観た。
ふと、衝撃映像を見たくなるときがある。非日常を味わいたくて、目と耳を使って摂取する。こんなことが我々の生活の中で起こりえるなんてと思いながら、同時に、衝撃映像を求めている自分に軽く引いている別の自分がいたりする。そんな12月、たまにドぎつい系の映画が見たくなってこの『スーサイド・ライブ』を観たのです。
簡単にいえば、「もしも自殺生中継番組があったら...」という突飛な設定の映画なのだが、なぜだか現実味を感じてしまった。それは、導入部の展開があり得なくないと思わせるifだったからだ。バチェラー的なリアリティーショーのクライマックスで、敗退した参加者が発砲。人が死ぬ場面が生中継された。そこをエピソードゼロとして、アメリカのメディア事情、“死ぬ権利”という追い風を得て番組がスタートされる。
それに、わたしは冬に見た『ケイト・プレイズ・クリスティーン』のことを思い出して、ますます現実性を感じていた。現実世界で、わりと生放送で死を見る瞬間は近いのかもしれない。
自らの命を捧げる代わりに、寄付を募る、弱者を救うという“番組の意義”がポイントだ。現代的な生贄を“エンターテイメント”として消化している場面がショッキングだ。「意味のある死」「同情できる死」に対する許容度を広く描いていることに、異差を感じた。
飽きさせないように、色々なジャンルの死に方を描いている。B級感ありまくりだ。もちろんございますよ、ハラキリも。いかにもアメリカから観た日本伝統な感じが心地よい。ヒリヒリする映画の中で、ホッとした場面だ。
原題の"This is your death"も、結末につながっていて、最後は少しだけどすーっとした。すーっとしたけど、なんだかもやっとする映画。すーっ、も、もやっ、もすべて背負い込んでるから人生を味わえるのだ。生きているって素晴らしいよね。