『レゴバットマン ザ・ムービー』を観た。
Twitterから流れてくる言葉はときに私を幸せにする。『ムーンライト』や『トレインスポッティング』の公開が近づき、興奮を隠しきれない私のTLにあらわれた情報が『レゴバットマン』が面白いというものだった。
あまりの過熱ぶりに、とうとう意を決して劇場に行ったわけです。鑑賞直後の私のツイートをどうぞ。
噂には聞いていたが『レゴバットマン』めちゃくちゃ面白かったあああああ 何でもありって最高だよね。
— Takanori Takano (@nigaiChocolate) 2017年4月6日
この映画はスタートダッシュからとんでもない。1秒目からの“猫だまし”的な仕掛けで、タイムラインを信じてよかった。と、自分の頬の筋肉がニヤッと上がったことに自分で気づく。あっという間に、この世界の住人になってしまう仕掛けを充分に堪能してほしい。
アメコミの世界観をレゴブロックを使って、緻密に再現されているのは圧巻である。ゴッサムシティの“住みたくない大都市ナンバーワン”感も溢れている。(つまりゴッサムシティの対義語は吉祥寺だ。)バットマンの秘密基地に目がキラキラしない坊主たちはいないはずだ。
そのビジュアル的なインパクトに、アメコミの文脈、果ては映画の文脈までとことん載せたストーリー展開で、頭が凝り固まったおじさんたちも楽しめるというのがこの映画の恐ろしいところなのである。ただのストップモーションアニメじゃない。見た目も中身も正確無比なのだ。
予備知識として、1作でもいいからバットマンシリーズを観ておいたほうが、テンポの早いストーリー展開では良いのかもしれない。(ただ、観なくても充分面白い。何故って、映画好きなお前たちならわかるはずだ。)ただのスカッとするアクションではなくて、ヒーローの孤独や社会の変化に苦悩するバットマンの弱さも描かれている。そして、アイツが出たり、アイツが出たりと、斜め上の斜め上をゆく展開に声が出そうになった。
この映画を観て、こんなに生まれ変わりたいと思ったことはない。まっさらな子供の純真な感性で、動き出すレゴに興奮し、映画が好きになる。たくさんの映画の知識を身につけた青年時代は、映画好き達が埋めた財宝に気づき、ニヤニヤし、中年になればバットマンの孤独に共感して切なくなる。年を経れば経るほど見方が変わる映画なのだ。この衝撃にもっと100%で出会いたかった。片道切符しかくれなかった子宮のことを少し恨んだ。