この前、徹子の部屋でピコ太郎が出たときのこと、徹子さんとのコラボとして“オニオンペン”というのを披露していたけど、とうとう日本の大きな玉ねぎも差してしまった。とてつもない勢いである。
私の肌感覚でいえば、去年、世界中を刺突ブームにさせたPPAPがいわゆる“2周目”に入った。(その2周目も間もなく終わりそうだ)
PPAP(Pen-Pineapple-Apple-Pen Official)ペンパイナッポーアッポーペン/PIKOTARO(ピコ太郎)
“2周目”というのは、内容を把握されている状態のこと。受け手に浸透され、(=1周目)フレッシュさが薄れつつ中で、どう変化をつけていくのか、というのが腕の見せ所である。
PPAPの恐るべき点として、2周目の味付けがしやすいところである。この45秒のインパクトは、どんな味付けにしても合ってしまう。パスタだ。そう、パスタのPだ。
もうわけがわかんねえよ。かたや、数万人規模のフェス会場でカッコよく打ち鳴らされ、かたやインド音楽の神秘的なスパイスを振りかけられ、それもカッコイイ。世界どこでもPPAP状態。ニュートン、ジョブズ、ピコ太郎。りんごはいつも世界を変えてしまうのだ。
音楽の観点からいえば、2周目は世界規模で大成功した。では、歌詞(言葉)の観点から2周目はどうなのか、といえばなかなかハードルが高いところがある。
PPAPの歌詞だが、以下のように置き換えられるだろう。
A+B=AB
C+D=CD
AB+CD=ABCD
本家の歌詞の場合、AとCは"Pen"で同じ言葉を置いていたが、PPAPは非常に数少ないキーワードで構築されている。その言葉を羅列したのだが、僕たちは破裂音に非常に弱い。この「言ってみたい。でも言いづらい」というところがフックになっている。というよりPPAPをABCDで表すなよ。0EAT 1BITE。
ただ、この癖になるPPAPの歌詞の1周目を越えるためには、足すという行為だけだと物足りなくなってしまう。どこぞのCMクリエイターが、ピコ太郎におんぶにだっこで作ったような替え歌では、シンプルにスベってしまうだけだ。そのため、2周目の方程式は以下のようになりつつあると思う。
A×B=C
D×E=F
C×F=G
A×B=Cとは「赤×白=ピンク」のようなイメージで考えてもらえばいい。AとBからなる連想ゲームのようなものだ。この式のとき、特筆すべきはGである。このGへ到達するのが非常に難しい。一度答えとして出したCとFをフリにしなければならない。「キングちゃん」でアルコ&ピース平子氏が表現していた言葉を用いるなら、
小ずらし
小ずらし
大ずらし
を見事に成功させなければいけないのである。蜘蛛の糸をつかむことと同じである。
この、地獄のPPAP大喜利(2周目)だが、成功例が見当たらないまま、2周目を通り越して、3周目に入っていたりもする。
PPAP小栗旬さんバージョンと言いつつも『おい、それ花沢類じゃん』と言うそこのあなた!おまたせ!1月14日劇場版『信長協奏曲』地上波放送に伴い、【信長協奏曲のサブロー】バージョンでPPAPやったよ!
— おばたのお兄さん (@hinode_obt) 2017年1月7日
※リツイート、いいねガンガン頼むね! pic.twitter.com/KstTTHuGez
電卓でいえば、C×FをするまえにAC押すみたいなこの展開、素晴らしい。大ずらしをさらにずらすという構成が見事だ。言葉に関しては、この3周目系のPPAPが、裏切っていることが明確に伝わるし、適切な加工の仕方なのかもしれない。
と、つらつらと分析してしまったのであった。