ささやかながら今年も、私が手塩にかけて育てた短歌のいくつかが、陽の目を浴びることができました。方方に行ってしまうのはなんだか寂しいので、ここで5首まとめさせてください。手前味噌も立派な調味料。
勉強も運動もできないけれどミンティア必ず持ってる友達
(ダ・ヴィンチ 2016年8月号)
「短歌ください」のテーマ「男子」で投稿した作品。学生のとき、数学ならアイツに聞こう、サッカーならアイツが詳しい、みたいな感じで、アイツならミンティア持ってるんじゃないか(じゃないかと言っても切らさず持ってるんだけど)という期待のもとで友達のところへ行った記憶から呼び出した短歌でした。しかもミンティア持っているだけ何だか頼もしく見える。不思議な学生マジック。
白目する君が好きだと言えなくてまた外国のビールに口づけ
(note 「愛はおしゃれじゃない」)
かなり衝動的にnoteで短歌を定期的に発表しようと思ったのですが、たった3回で飽きてしまいました。好きな曲から連作を作るということはとても楽しいですが、如何せん元の曲の完成度と比べては落ち込む自分がいるわけで。
これは、私の理想の50代、岡村ちゃんの「愛はおしゃれじゃない」からイメージした10首のうちのひとつ。一歩踏み出すことの出来ない奥手な男子が女子(お互いの認識は「友達」。何回かご飯に行く関係。ハーフっぽいとよく言われる)とデートしている風景。白目を見せてくる女の子は大体素敵。
あくまでも個人の意見なのですが日傘を差せば全裸ではない
(ネットプリント毎月歌壇10月号)
毎月歌壇に遂に、遂に採用された作品。これは「おしゃれは何着てもおしゃれ」という真理をベースに、何を着てもおしゃれなのだから、何も着なくてもおしゃれなのではないかという「オシャレ全裸」論という、私が昔思いついたものから着想しています。全裸なのに、オシャレが故に全裸であることを否定する人類がこの世には一定数存在するのです!全裸でおしゃれなのだから、日傘だけでもおしゃれなのです。坂口健太郎くんだって、福士蒼汰くんだって、日傘を差せば「オシャレ全裸」なのです。
この海の向こうを知らずに働いて買ったシューズでこの海を見る
(YUTRICK展)
YUTRICK展という、写真をもとに短歌を生み出すという企画に参加させていただいたときに投稿した作品。感想をいくつかTwitterで拝見することができました。自分が思っていた以上に好意的に読んでいただいて嬉しいです。エゴサーチ最高!テーマの写真が、「柵の中で人が海を眺めている」というもので、閉鎖的な、麻痺されたイメージをつけて作りました。
君が乗る始発のようだ容れ物がだんだんお肉で満ちていくのは
(短歌の目10月)
私の短歌力の基礎になっている「短歌の目」より、個人的にお気に入りの作品を。「短歌の目」では、題詠以外に、誠に勝手ながら縛りをつけて(というより見出して)発表しています。10月は、短歌を作っていくうちに「朝」に関することで縛りが出来るのではないかと、見込みがついたところでこの作品が出来ました。
この短歌って、部活の朝練習に行く子供の為に弁当を作る母親目線の歌なんですよ。私は早起きして弁当なんか作ったことなんて無いけど、ただ、この目線が生まれたということがすごく嬉しくて、なんだか日本各所に溢れているお母さんの破片がビチッと私の脳みそに集結したような歌なんですよ。
来年こそ短歌で売れたいよエブリワン。