砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

『ルーム』観たマン

『ルーム』を観た。

 


映画『ルーム』予告編

 

感動的なイメージを与える予告編とは裏腹に、物語の設定としてはかなり攻めている。“ルームに居るその親子は4年間、外の世界を知らない”のだ。子供に至っては、その部屋から一度も外に出たことがなく、部屋こそが世界だと思っている。つまり、そういうことなのだ。

 

閉ざされていた部屋からの物理的な脱出、そして、閉ざされていた自らの心からの脱出。愛を強く持った親子が異常な世界と普通の世界に苦しみながらも生き抜く様子が描かれている。少年ジャックを演じる子役、ジェイコブ・トレンブレイのすさまじい演技力。あんなちっちゃいのにしっかりしてるなあ。モノローグの声もとてもかわいい。アンファンテリブル!

 

この映画は大きく分けて「部屋の中」「部屋の外」の2部構成である。物語の中盤になってようやく大きく青空が映るシーンが出てくるのだが、ふと自分のことと重ねてみた。果たして、自分が初めて空を見た(というより見てしまった)のはいつだったのだろうか。物心がインストールされたときには空の大きさ、美しさはとっくに知っていて、空がある世界が当たり前のものだと思っていた。雷の空だって、嵐の空だって、そういう日は初めて見た時みたいにドキドキはするけども、それは空に対してではなくて、天気に対してである。知らず知らずのうちに初めての経験を楽しむ機会を潰してしまうのはなんだか切ない。年をとるのもなんだか嫌だね。