砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

Farewell Ebisu 2days

どうやら別れの季節は早まったみたいだ。2月27、28日と連続で恵比寿ガーデンプレイス方面にライブを見に行ったのだが、どちらも現体制では終了のものであった。

 

27日の恵比寿ガーデンホールではN'夙川BOYSの無期限活動休止前のライブ。もはや絶滅危惧種となったド直球の青春ロックンロールが眠りについてしまうのは悲しい。ほとんどの人がそうかもしれないが、劇場版の『モテキ』を知るまでこの不思議な3人組の存在を知らなかった。YouTubeでひたすら見た『物語はちと?不安定』のMVをライブの前日に、久しぶりに再生したが何回繰り返してもこの数分間の映像のエネルギー量は色あせない。このリンダdadaのシティエンジェル感。

 


N'夙川ボーイズ - 物語はちと?不安定

 

ライブは端的に言えば、「ひたすらマーヤが暴れていた」に尽きる。誤解を恐れずに言えばマーヤは主観的な男だ。ただ、ロックンロールは主観的であることが大切なんだと思う。1曲目で前歯を折って、ライブの途中で機材に手をぶつけて、青いジャケットは血に染まる。2016年にこれほど正当に狂ったロックンロールがどこにあるというのか。マーヤの暴走は花火が消えることなくひたすらもがくようで美しかった。

 

アンコール後、最後に演奏したのは『死神DANCE』。バックに映し出される太陽と、その太陽に呼応する天女のように力強くドラムを叩くリンダdadaの姿は儀式と表現したほうがよいだろう。そして、マーヤは修行僧なのだ。(体つきもそれっぽいが)ロックの修行僧だ。マーヤが求道するロックの神様は、風変わりなやつで、修行僧たちに不死の体を与える。その苦行を達成したら晴れて死ぬことが出来る。マーヤはまだまだ修行の途中で、ひたすら死を目指してその魂を削る。そんなことを妄想してしまうぐらい神秘的で引き込まれるラストであった。「Rock 'n' Roll」と叫べばぼくらは救われる。苦しくなったら叫ぶよ。

 

 

28日は恵比寿ガーデンルームでEspecia5人体制ラストの東京公演。まさか恵比寿2連チャンになるとは思わず。Especiaの楽曲ってクールでかっこいいんだけどもなんで3人脱退という状況になってしまったのか。確か2年前?ぐらいにWWWで行われたEspeciaのワンマンライブでオープニングアクトをしていたのが、あの水曜日のカンパネラだった。気づけば、Especiaを追い抜いて新世代のサブカルアイコンになっちゃったもんなあ。世間は酷だ。

 

LIVEはMCを挟まずひたすらノンストップ。ナンブヒトシとのコラボを2発やった後で会場のテンションは爆上がり。久しぶりの「Good Times」。アイドルなのに、ズケズケと客席に入っていってハイタッチで駆け回る演出は、プロレスの場外乱闘を髣髴とさせるから(もちろんハイタッチできるから)大好きなのだ。そのあとは、5人での最終形を永久保存するかのように歌い、踊り続けていく。

 

こんなんめっちゃかっこいいのになあ

www.youtube.com

 

正直、自分の中では「3人脱退≒解散」というような面持ちだったので、感傷的な気持ちに浸らせることないノーMCスタイルは、少しさっぱりしてるなあという印象はあったんだけども、徐々に潤んでいく脇田もなりさん(推し)の瞳にこちらも連られてウルウル。パワフルな歌声も聞こえなくなっちまうんだなあとさらにウルウル。

 

ライブが終わった翌日も翌々日も、どことなく引きずっていてめそめそな気分でいたら、3月1日にあっという間にEspecia全員のTwitterのアカウントが消えていた。脱退した3人のみならず、残りの2人まで消えていたのは予想外だったが、アイドルはやっぱり幻なのだ。スパイスが摂れない人生は空っぽになりつつある。