3日目。滞在しているホテルの部屋から見える街路樹が強風により、あちらこちらへ引っ張られている。傘を差している人はまだいないが、決戦はそろそろだ。気象衛星から送られた画像と読める漢字のみの情報だが、ニュースによると夜に上陸とのこと。ということはこの日に動ける時間は限られている。勝負は、午前中である。先勝スタイルで行こう。
そういえばこの台湾旅行で、2日も滞在しているのにやっていないことがあった。かき氷と占いである。この2つを早急に制覇しなければ!とホテルの朝食もあまりとらずに、朝早くからオープンしている百果園というお店へ向かう。少し路地まったところにポツンとあるたたずまい。フルーツがいろいろのったかき氷を注文。
積もり積もったカラフルフルーツ!頂点のジェラートは選ぶことが出来て、パイナップルにしたのだがこれが最高!あー台湾来たなあと空腹に染みる果物の甘み。私が入店した後、徐々に日本人の家族連れが増えていった。自分と同じように朝飯からかき氷の日本人(しかも一家揃って!)がいてなんだかほっとする。
ついにフルーツのせかき氷を食べることが出来たが、まだまだ物足りない。そのよく言われる台湾的な「氷に味がついててー」みたいなかき氷が食べたい。ということで、続いてあのICE MONSTERへ。表参道の馬鹿長い行列を心のなかでせせら笑いながら待ち時間0分で店内へ。(台湾への移動時間・経費は気にしないことにする)メニューの写真を見て一目惚れしたいちごのかき氷をオーダー。
見よ!この美しき深紅の山!シェイブドアイス、ジェラート、ソース、どれもイチゴ味だというのに食べてて飽きないすごさ(そして食べても食べても一向に減らないこの山)トッピング練乳がついてくるのだが、これもまた濃厚で、ますますスプーンがすすむ。しかも白湯が飲めるのがほんと嬉しい。かき氷屋として最高の優しさ。2連チャンのお腹にかすかなオアシス。
およそ30分かけ食べ終わると、外は雨が降り始めていた。使いこなせるようになったメトロを乗り継いで、鼎泰豐の行列を横目に見ながらやってきました3件目!芒果皇帝というお店。その四字熟語が存在するというだけで興奮が止まらない。その名の通り、マンゴーのかき氷が有名なお店。ここへ行くためにマンゴーだらけのやつをキープしていたのだ!
このどっぷどぷのマンゴーソース。こんな黄金色の海があったら真ん中を泳ぎ切ってみせる。果肉もしつこくなくて美味しい。午前中にアホ盛りのかき氷を3発仕留めるているので、確実に身体が震えが止まらないが、かき氷への愛情も止まらない。食べ始めたらアイキャントストップ。
4件目は、なにかしらの事件が起こる気がして、この辺りでかき氷は打ち止め。 そういえば、占いの方では痛恨のミスをおかしていた。予約するタイミングが遅かったため夕方になってしまうとのことだ。覚悟を決めて台風の上陸時間が深夜になることを願いつつ一旦ホテルに戻り、時を待つ。昼寝。
風の音で目が覚める。あーもうこれやばいやつじゃん。。。と思いつつもなんだかワクワクしている自分がいる。タクシーもこの天候じゃ捕まらないとホテルフロント。意を決して、外に出る。目の前で持ち主を失った傘が吹き飛ばされる。カブを止めようとする初老の男はバランスを崩して転倒する。とにかく、駅まで行かなければ。歩けば5分ぐらいだ。ゲリラ戦をやるかのように市街の屋根を伝う。すごいヒリヒリする移動。
壊れていく街の中で命からがら占いを受けに行く。武者か俺。びしょびしょになりながらも、なんとか到着。投資は向いてないんですって。そして2016年後半に好況があるとのこと。堅実に生きていこう。
帰りの駅のファミマが空っぽで、思い出すのはあの日の震災のこと。台湾は自炊しないとは聞いていたがここまでカップラーメンやらなにやらがなくなるなんて。日本語表記の貝ひもと、ココナッツ味のクッキーで飢えをしのぐ。帰り道にあるカフェやレストランは全て閉まってあった。ホテルの前にある最後の横断歩道を忍者のように渡りきりようやく到着。達成感で風邪を引きそうだ。限りなく透明に近いサバイバーの一皮がむけた気がした。
ひたすらベッドの上で過ごす3日目の夜は強風でかすかに建物が揺れていた。少し動揺してたけど、サバイバルの疲れもあってか、すぐに眠りについた。