砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

かかせてかくかくしかじか

最近読んだ「かくかくしかじか」がエモかったので書かせてください。

 

かくかくしかじか 1

かくかくしかじか 1

 

 

この「かくかくしかじか」、なんだか面白いというの情報を仕入れて、全5巻というのもあり気楽な感じで読むことを決めた。そもそも自分は漫画はあまり読まず、今もずっと読んでいるのはワンピースぐらいしかなく、ましてや少女漫画(というカテゴリーでいいのだろうか)なんて読んだ記憶が無い。ということではじめまして、東村アキコ先生。

 

そんなわけでこの自伝的話を1巻からちょこちょこと読んでいったんだけど、主人公アキコと絵画教室の日高先生との奇妙で愛さずにはいられない師弟関係にずんずんとのめりこんでいることに気づいた。そしてはやくも1巻からひしひしと感じる、薄暗い雲が漂うようなモノローグ。なんだか嫌な予感はするんだよなあと思いつつもはちゃめちゃなエピソードに笑ってしまった。と、思ってたら4巻の最後に。あああああああ。それまでさくさく読み進めていたんだけど、5巻を読むのに時間が必要だった。

 

この前、『海街diary』を観た時にはっと気づいたことなんだけど、親や親戚はいずれ死ぬという覚悟は心のなかでなんとなく理解出来てるんだけども、親友や師匠、いつもニコニコしている友達のお母さんとか血のつながりは無いけど自分に多大な影響を与えてくれた人の死についてはなんにも準備出来てない人が多いんじゃないかなあ。なんだか絶妙な距離感が故に、永遠に生きているような錯覚を少なくとも自分は持っている。

 

この物語を通してキーワードになるのが日高先生の「描け」という2文字。この2文字がとにかく頭に残るし、なんだか自分に指摘されているような気がする。文学も絵も、なんでもとにかく「かく」ことが大事。センスなんて言い訳だ。かきつづけたことがパチっとハマっていくんだろうなあ。インプットもアウトプットももっともっと。もっとかかなきゃ。もっと読まなきゃ、聞かなきゃ、浴びなきゃ。

 

そんなわけでしばらく「かくかくしかじか」の余韻に浸っているんだけど、最近電車で「東京タラレバ娘。」という作品を立ち読みしている女性を出くわした。タイトルが気になったのでググったら作者が東村アキコ先生!なんか運命を感じてしまう。もっと読まなきゃ。自分の小さい世界が外とつながり、徐々に広がりはじめる幸せ。