砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

lyrical school『SPOT』について書かせてください

lyrical schoolのアルバム『SPOT』を聴いて思ったことなどなどを連々とリリスク大好きおじさんとして、書かせてください。

アルバムの収録順に沿って書いていきます。前作の『date course』もそうだけど、リリスクちゃんのアルバムは、その世界への導き方がとても丁寧なので、フラッと入り込めるのがGood。

 

1.I.D.O.L.R.A.P


lyrical school / I.D.O.L.R.A.P(from album"SPOT ...

 

2.PRIDE 


lyrical school「PRIDE」(MV) - YouTube

 

3.OMG


lyrical school「OMG」LIVE 2015.03.09 at TowerRecords ...

 

リリスクの2つ名である『I.D.O.L.R.A.P』というタイトルの1曲目がかっこいい。

例えるならオカダ・カズチカレインメーカー(オカダの2つ名で、必殺技の名前でもある)のような破壊力と説得力。堂々とキメ技として据えられる曲が出来たというのはすごく大きいと思う。RHYMESTERももクロのオマージュも、元ネタを知ってる人は、MVのhinaさんのようにニヤっとしてしまうことだろう。

そして、PRIDE→OMGへの、今までのリリスクらしからぬかっこいい系なRAPスタイルの畳み掛けがかっこいい。そりゃOMGって思わずこぼれるわ。

最初の3曲は上記に貼ってあるとおり、YouTubeでフルで聞けるので、この入口をくぐっていただきたい。話はそれからだ。

 

4.4years

『SPOT』では『4years』『8.p.m』と、2つのIntermissionが入っている。収録順とタイトルの数字を揃えるあたりもきめ細かい。

『4years』以前に収録されているのは、いわゆるエッジのある強めなもので、以後には、リリスクらしさのある「騒げ!」なパーティーチューン。そして、『8.p.m』以降は女の子的な、しっとりとしたナンバーが揃う。このIntermissionにより『SPOT』のコンセプトや世界観が、ぐっと明確になっている。”IDOL”と”RAP”と、もうひとつ付け加えるなら、”女の子”のミュータントであるlyrical schoolの、それぞれの面ごとにSPOTを当てることで、それぞれ切り取っても魅了するものがあるし、その面が合わさると、さらに面白さが際立つような印象を受けた。リリスクちゃんの”六面体”としての立体感が引き立つ区切り方なのだ。

『4years』は、2014年11月に行われた恵比寿リキッドルームでのMCが収録されている。次曲のFRESH!!!へ繋がるのだが、ayakaさんの「ラップをするのは」で、一気に温度があがる観客の歓声は面白い。自分も観に行ったけど、あのMCされちゃ『PRIDE』くると思ったもんあれ。恵比寿リキッドルームのライブを収めたDVDと合わせてみると楽しさが50倍は増える。

 

5.FRESH!!!


lyrical school「FRESH!!!」(MV) - YouTube

 

で、ここでFRESH!!!へ。『SPOT』は新たな面に突入し、待ってましたとばかりのパーティータイム である。私は、リリスクちゃんの中で推しているのがayakaさん(大部彩夏さん大好きです。)なのだが、このFRESH!!!でのパート、「あざayakaに満開!」でのピンとなっている指が本当に素敵。中指の最先端の細胞までチャクラが通っているような美しさ。恵比寿のDVDだと、その場面では、ローアングルなのであんまり指先の美しさがチェックできないのが残念(その分足の角度が堪能できるんだけど)で、なんなら指先だけの映像が欲しいぐらい好き。もう好き。

 

6.レインボーディスコ

7.brand new day

lyrics by LITTLE 2連発。KICK THE CAN CREWで育った私としてはたまらないのであり、LITTLE節炸裂で、もう最高である。

レインボーディスコでの「WEEKEND革命」という歌詞から、ふとLITTLEが客演で参加しているRHYMESTERの「ウィークエンド・シャッフル」を思い出した。何かヒントがあるのではないかと、LITTLEパートの歌詞を見てみると、「Here we go,yo! そわそわそわしちゃいそう」とレインボーディスコと同じ箇所があるのではないか!りっくん!

つまり、これはリリスク版の『ウィークエンド・シャッフル』ではないだろうか。同じくLITTLEパートの「初対面もマイメンもまぜまぜ だれかれ構わず馴れ馴れしく」も、リリスクの持つ多幸オーラにリンクしていると思う。

 

そして、『brand new day』へ。とにかくこの曲はライブでのぶち上がり方がすごい。「しっぽに似ている〜かなり来てる感じてる」の部分は誰かれ構わず盛り上がるハズレのない韻の踏み方だし、私は初めてミラーボールは友達なんだということを知れた。LITTLE×リリスクの”リリリスク”の相性って凄くいい。リリリスクのパーティがあればぜひぜひお呼ばれされたい。

 

8. 8.p.m

このIntermissionも恵比寿リキッドルームでのライブからの音源で、冷めやらぬ興奮が伝わってくる。私からヘッズ諸君に提案したいことがありまして、アンコールの時に「アンコール!アンコール!」というのもいいけど、もっとクールなコールがあるんじゃないかと思っていたり。「リリカル!」「スクール!」とかでもいいし、(たしか恵比寿でも少しやってた気がするけど)もっと、リリスクらしさがあるかっこいいコールをしたいと思ってる。

「スクール」つながりということで、参考までにお知らせしたいのが、空想委員会。彼らのファンは「居残り!」の大コールでアンコールを待つ。こういう遊び心って素敵だし、なんか出来そうだよね。

 

9.CAR

展開が変わり、また新たな面にSPOTが照らされる。

『CAR』冒頭の「最後のverseが終われば流れ出すエンドロール また日常へ戻る」の歌詞のように、ステージを降りてIDOLから普通の女の子へクールダウンする彼女たちの一瞬が切り取られていて、歌詞の世界観から帰りの車の中での仕草や目線が鮮明に伝わる。

女の子として異質であるIDOL、そのIDOLとして異質であるRAPIDOLなのがリリスクであり、RAP系→IDOL系→女の子系と、『SPOT』の物語が進むに連れて異質の中の異質から徐々に普通の女の子に戻っていく。

 

10.月下美人

『SPOT』の中で一番特殊な曲はこの月下美人であろう。月明かりがSPOTとなっているような幻想的な雰囲気が漂う曲だ。歌詞に「孤独」「ひとり」といった単語が入っていて、IDOLとしての武装を脱いで、女の子となった彼女らの弱さ、繊細さがあらわれている。

そういえば、月下美人ゲッカビジン)は花の名前だ。ゲッカビジン花言葉は、夜に咲いて、数時間で萎む性質の通り「はかない美」。なんとアイドル的な花言葉だろう。

月下美人』はアイドルとしてSPOTを浴びている自分を、もうひとりの自分、女の子に戻った自分が客観視した時の不安や怖さを表現した曲で、ある意味セルフボースティングの対義的な曲なんじゃないかと思った。アイドルの開花時間の短さ、儚さを思うとすごく切ない。

 

11.ゆめであいたいね

最後の最後でtofubeats先生。ずるいラインナップ。

自分が初めてこの曲を聞いた時に、以下のようなことを想った。

 

 

小学生の時、友達と遊んで帰ってきた時にテレビをつけたら流れてるエンディングソング。少女アニメそのものには関心がないんだけど、そのエンディングソングには不思議と吸い込まれていて気づいたらその曲を毎週楽しみにしている。外は夕と闇が交じり合っている最中である。

とか、ガキの頃のかすかな記憶に耽けていたらこんな動画がUPされていた。

 


lyrical school ニューアルバム「SPOT」30秒スポット(「ゆめであいたいね」) - YouTube

 

こ、これ!まさしく自分がイメージしていたような世界のアニメーション。

帰り道で、どんどんメンバーが増えていく感じの展開のエンドロール。で、次回予告。

 

ただ、この『SPOT』全体から『ゆめであいたいね』の曲の意味を考えると少し違った景色が見えた。RAPの兜を外し、IDOLの鎧を脱いだ状態の女の子として、未来への不安を抱えながら迎える今日と明日の境目。それでもファン(=あなた)を思い、IDOLへの日常に戻っていく彼女らの決意表明ソングではないだろうか。

未だ続くアイドル・サバイバルの時代に、腹をくくった彼女たちは、IDOLとして「ゆめであいたいね」というメッセージを発信するのだ。

 

12.わらって.net album Ver.

13.S.T.A.G.E take 2

 

 

この2曲についてはどちらかというと『SPOT』の根幹にある物語からは離れているがリリスクの3大要素である、「RAP」「IDOL」「女の子」が存分に詰まっている。冒頭に言った複合的、立体的に絡まったリリスクの魅力を、この2曲で味わうのだ。

 

と、ながながと感じたままに書かせていただいたが、とにかく言いたいのは、リリスクさん大好きです。ということ。