砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

Pontaカードを持っています。

アイス最中が好きだ。

コンビニでアイスコーナーを見ると真っ先に、アイス最中に目が行くし、選ぶ確率も高い。
最中の皮を通して口の中に響くひんやりとした甘さ。上品な雰囲気を漂わせながらも150円以下でゲットできるのも素晴らしい。

今日、お蕎麦屋さんでラー油つけそばを堪能したあとに、無性にあいつを食べたくなった。しょっぱい系の後には甘い系。温かい食べ物の後には冷たい食べ物。そういえば、すぐそこにローソンがある。アイスコーナーをめがけてローソンに入店。そのローソンが天国だった。

 

なんとアイス最中が3種類もあるのだ!よりどりみどりのパラダイス。定番のチョコモナカジャンボ。アイス最中界の超新星、安納芋最中。そして、見慣れない顔の抹茶最中である。

 

チョコモナカジャンボか安納芋かの2択かと考えていたが、よく見ると抹茶最中はつぶあん入りで、しかも世界一おいしい鈍器であるあずきバーを売っている井村屋の製品じゃないか!優柔不断の血が騒ぎ出す。

 

しかし、その血もすぐに収まる。その抹茶最中に「おもち5個入り」と書いてあったのだ。おもちが入っている。し、しかも5個も!と興奮している間もなく無意識で抹茶最中を冷凍庫から、それを抱え上げていた。

 

レジへ向かいながら脳内で呪文のようにつぶやく「おもちが5個」「おもちが5個」。この大きさだからまんべんなくおもちを堪能できるだろう。早く会計を済ませておもちのやわらかさに包まれたい。幸運にも、レジの列は0人。店員は、おそらく高校生で、名札には初心者マーク。さあ若人よ、とっとと俺に抹茶最中を味わう時間をくれ!

 

かばんから財布を取り出すが、意識は完全に口内のことでいっぱいだ。抹茶のほろ苦さと、つぶあんのおしとやかな甘さ、そして、5個入りのおもちを迎え入れることを想像しながら、全く心のこもっていない口調で、店員の質問に答える。「袋、要りません。」

だが天国は、もうすぐそこというところで、店員の言葉にドキッとしてしまった。

 

Pontaカードはお持ちですか?」

 

(お、おもち。。)

 

事故だ。これは、完全な事故だ。習ったばかりのマニュアルを忠実にこなす勤勉な高校生バイトと、おもちの誘惑に浮足立ってしまった私の衝突事故だ。150円程度の抹茶最中アイスだけを買うおじさんを皮肉るかのように聞こえる「おもちですか?」しかし、非は100%私だ。そして、Pontaカードはお餅じゃない。カードだ。

 

その「おもち事故」に抹茶アイスの妄想からはっと目が覚め、恥ずかしながら差し出すPontaカード。おつりをもらって、小走りでローソンを出る。帰りながら頬張る抹茶アイス最中のおもちは少し、固かった。