砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

永遠のパワースポット・千葉

子年あるあるをひとつ。ディズニーランドが取り上げられがち。ディズニーランドの看板キャラクター、ミッキーとミニーが子年のポップアイコンとしてニュースに露出する。そしてその次週には浦安市の新成人がミッキーと戯れる。

 

こうやってディズニーランドが子年の聖地となるなら、他の干支もこういう聖地があってもおかしくない。その干支の動物がいたり、あやかっていれば聖地認定だ。

 

 

お正月気分もとっくに行ってしまったし、鬼に笑われてもいいから、さっそく来年のことを考えてみた。丑年は簡単だ。乳搾りが出来たりする農場や牧場がふさわしい。あら、ディズニーランドの近くに適した聖地があるじゃないか。母なる大地、マザー牧場。2年連続の千葉。

 

 

こうなると千葉でどこまで行けるか試したくなる。次は寅年だからセオリーでいえば虎のいる動物園に行けばいい。ただ、ググってみると千葉県にはライオンはいるものの、虎はいないらしい。うーん困った。悩みながら目線を浦安に戻すと、そこにはぴょんぴょん飛び跳ねるオレンジの虎が。ティガーがいるのではないか!これで3年目もクリア。ティガーってオレンジで虎だから結果として巨人ファンにも阪神ファンにも嫌われてるんじゃないだろうか。

 

ディズニーランドは動物キャラクターの宝庫だった。もうこの夢の国に甘えてしまえ。ご察しの通り、卯年には、不思議の国のアリスのうさぎがいるし、シーにはステラ・ルーがいる。もう無双状態!だと思ったのもつかの間だった。ディズニーランドにマッチしない干支が存在した。Dragonである。

 

5番目に架空の生物をねじ込んでくる干支を決定した組織の意地の悪さに辟易しながら私は、初手に「千葉 ドラゴン」で検索をした。

 

www.p-world.co.jp

 

難関だったと思っていたのに。千葉市にあるパチンコ屋「ドラゴン 千葉店」が引っかかった。見事に大当たりだ。これで千葉県は5年連続で干支にゆかりのある土地となった。

 

 

しかし、一難去ってまた一難。今度はもっと厄介なやつが待ち構えていた。蛇である。胴長の龍の後に、同じフォルムをした蛇を並べるあたり、やはり干支決定委員会は性格がひねくれている。どういう思考回路で龍→蛇ってしたんだよ。どうせ天下りだろ。

 

ただ、わたしは千葉県のことを甘く見すぎたのかもしれない。蛇にゆかりのある千葉県の名所がそこにはあった。白子町にある白子神社だ。

 

shirakojinjya-sinsyoku.amebaownd.com

 

ここは、白蛇をご神体として奉っている神社だそう。有無を言わさず本気のパワースポット。まだ5年先だけど巳年は絶対白子神社に行こうな。ニョロニョロ干支という難所2連発をクリアした。ここまでくれば千葉で行ける。そう確信した。あとは、大いなる千葉の宝庫、ディズニーランドとマザー牧場雨、雨、権藤、雨、権藤並みに酷使してやるのだ。

 

 午年、未年はマザー牧場で、家畜たちと触れ合い、申年、酉年、戌年はディズニーランドへ直行だ。アラジンのあの猿。ドナルド&デイジー、そしてプルート。完璧なリリーフ陣。これまで11分の6がディズニーで11分の3がマザー牧場。年間パスだらけの人生。

 

最後の干支、亥だ。こんなん浦安に任せたら心配ないさ。プンバァがいるじゃないか。と、念のため、プンバァは何の動物か調べる。そうそう、プンバァはティモンと仲良しでね、、、あ、ちょっと待てよ。ティモンってミーアキャットなの?干支から選考漏れした猫はまずいなあ。これでプンバァだけピックアップしたら、ティモンやる気なくしちゃうんじゃないか?彼らの友情にもヒビが入りそうだ。

 

いや、しかしプンバァをのぞいた「千葉でイノシシにゆかりのある場所」なぞ見つかるはずがない。12年連続は流石に無理だったか、ここは黙ってぼたん鍋を名物料理にしている岐阜県兵庫県に譲るか。。。と諦めかけたその先、ある記事が私の目に飛び込んだ。

 

toyokeizai.net

 

永遠にめでたいじゃねえか千葉県。

令和の張り込み方(『エクストリーム・ジョブ』観たマン)

『エクストリーム・ジョブ』を観た。

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テレビや映画を観ていると「あれって、元ネタなんなの?」と気になる瞬間が生まれてくる。たとえば、刑事ドラマ。犯人を確保しようと、電信柱の影から昼夜に渡って犯人の張り込みを行う先輩刑事、そこにビニール袋を下げて駆けつける後輩刑事。袋の中にはあんぱんと牛乳。たなびくトレンチコート。令和だというのに、2020年だというのに、なんとなくこの画が頭に浮かぶ。

 

景観美化のため、電信柱は地中に埋められ、環境保護のため、ビニール袋は有料化され、失敗できない仕事のために、エナジー飲料が誕生したというのに、僕の中の刑事バディはあんぱんと牛乳で栄養補給しながら、双眼鏡でカーテンの影を凝視している。

 

そんな私の固定概念をぶち壊す映画が、海の向こうから現れた。韓国映画の『エクストリーム・ジョブ』だ。この物語の主人公は韓国の麻薬捜査チーム。しかし、失敗ばかりで解散寸前の大ピンチ。そんな彼らにチャンスが訪れる。犯罪組織のアジトを突き止める。そして張り込み先に選んだのは閉店寸前の揚げチキン屋。チームは、その揚げチキン屋を買い取って、世を忍ぶ仮の姿として営業を開始する。ただ、ひょんなことからその揚げチキン屋が大ヒットしてしまう。まず、屋内で張り込みしてる時点で偉い。トレンチコート要らず。

 

あらすじから察する通り、コッテコテのコメディだ。M-1獲ったときぐらいのNON STYLE並のペースで連弾されるボケの数々に思わず笑い声が出る。コメディの要素がありながら、同時進行で語られるマフィア側のダークなストーリー、刑事モノならではアクションシーン、そして揚げチキン屋として、グルメの要素も包含されている。こんなにジャンルが入り混じっているのに、どれも喧嘩せず、奇跡のバランスで成り立っている。

 

どのジャンルから見てもグッと来るシーンはあるのだけど、特に記憶に残っているのはグルメのパートだ。店の看板商品となる「カルビ風味チキン」を作っていく光景はシズル感ドバドバ。ああ食べたい。このカルビ風味チキンが食べられる日本のお店を探しています。『エクストリーム・ジョブ』がコンテンツ化されたら、家で、このカルビ風味チキンを食べながら、甘辛くなった指を舐めながら鑑賞したい。

 

日本だったら、よくわからない唐揚げの組織の定めたコンテストですぐ金賞を受賞できるはず。渋谷、原宿、新宿、新大久保を始めとしてチェーン展開されるはずだ。っていうかあの組織はどんだけ唐揚げ屋に金賞を配ってんだよ、インフレ起こしてんじゃねえか。誰か、組織の前で張り込んで捜査してくれ。 

 

ゾンビと共に生きる(『ゾンビランド ダブルタップ』観たマン)

ゾンビランド ダブルタップ』を観た。

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人間、死にたくなるときはあるけど、生きていればきっといいことがある。そのことをエンターテインメントを介して強く教えられた。生まれる前に解散していたバンドの再始動、伝説の漫才師の復活、あのドラマシリーズの新シーズン。その瞬間に何度も立ち会うことが出来た。終わっていたものが動き出した瞬間の喜びを知ってしまって以来、たとえ、物語が終わったとしても、いつか続きがあるのではないかと期待して生き続けている。

 

そして、またひとつ生きててよかったと思える瞬間がきた。あの『ゾンビランド』が10年ぶりに続編をやったのである。しかも、10年前と同じメンバーで!10年間に色々なことがあったよ。各々の人生について語りたいところをぐっとこらえて『ゾンビランド ダブルタップ』を観る。ダブルタップとは二度撃ちのこと。二度撃ちが何をさすかは、前作を観た人ならばすぐに思い出せる。

 

ゾンビ×コメディというスタイルであるから、メタ的構造はもちろんお手の物。そういうボケを細胞レベルで求めている私がいるし、ジャンルとして市民権を得た現代のゾンビ映画で尖るならそういうボケは欠かせない。むしろ何でもやってくれよ。舞台上にサンパチマイクが置いていれば漫才、劇中にゾンビが出てくればゾンビ映画なのだ。制限の中で自由が暴走するから面白い。

 

そういえば「ゾンビものの続編」というものは珍しい。よくあるゾンビ映画の展開といえば「平穏な日常」→「突如ゾンビが発生」→「ゾンビから逃げる主人公(そして同時並行で繰り広げられる人間同士のいざこざ)」→「主人公が無事生き残るor死ぬ」で物語が終了する。しかし、生き残りエンドはあっても、ゾンビを全滅させるエンドは存在しない。一難乗り越えたところで、物語が終わってしまう。その先に、主人公がうっかりゾンビに噛まれたとしても僕らは知る由もない。

 

 

この『ゾンビランド ダブルタップ』は「ゾンビが蔓延ることが日常になった」という違う角度の話となっている。それゆえ、なんだか死にそうにない(いや、死にそうになるんだけどね)。ゾンビをタイプ別に称したり、ゾンビも倒し方に芸術性を求めたり、文化的な余裕も出てきている。この世界を10年で順応できる人間の可能性よ。たとえ死の危険が隣り合わせにあっても、そういう人間らしい美的感覚を惜しまずに楽しんで生きていきたいよね。