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一番輝く隣の星へ(『アリー/スター誕生』観たマン)

『アリー/スター誕生』を観た。

 


映画『アリー/ スター誕生』予告【HD】2018年12月21日(金)公開

 

1月3日にしぶんぎ座流星群が流れていたことをてっきり忘れていた。その日は外に飲みに行っていたため夜の帰り道を歩いていたのに。年をとっても、サンタクロースを信じなくなっても、夜空を流れていく星に願いを込めたくなる。それほど、星というのは魅力的で魔力的なものである。ふしぎなことに空の上でなくても星はあって、例えば、唯一無二の才能を持ってぼくたちの生活を明るくしてくれる歌手や俳優、スポーツ選手だ。彼らのことを星と同じように"star"という単語を用いて崇める。

 

『アリー/スター誕生』は、新しい歌姫が誕生する物語である。しかも、その歌姫・アリーを演じるのがレディー・ガガなのだ。現在進行系でバッキバキに光り輝くスターが誕生前夜のスターを演じる。そのバックボーンだけでなんだか期待が高まるのだ。

 

アリーを、スターの階段へ導くのはブラッドリー・クーパー演じる大人気カントリー歌手のジャクソン。たまたま立ち寄ったドラァグ・クイーンの集うバーで観たアリーのパフォーマンスに心奪われたジャクソンは、アリーを自身のステージへ上げる。このバーのシーンでいきなりレディー・ガガのショータイム幕開けとなる。全然、原石感を隠せていない最上の数分間。バスケットコートに見知らぬ老人が現れたんだけど、もう体つきで、特殊メイクしているプロ選手なんでしょ?とわかるぐらいの圧倒感。何度も訪れるレディー・ガガのライブ・パフォーマンスを大画面で見るだけでも映画館で楽しむ価値がある。やっぱガガってすげえ〜!観終わって早速サントラを聞いてニヤニヤしています。

 

やがて恋仲となったアリーがスターダムを駆け上がるのと対照的に、ジャクソンは転落の人生を歩み始める。酒とドラッグに蝕まれる生活。逆転する地位。このあたりのジャクソンの苦悩は共感できないんだけども、なんだか心に響く。輝き続けなければならないスターならではの苦しみである。

 

スターとして輝いている中で、もし、自分の隣に一番輝く星が爆誕したら、、、ぼくたち遠くでその輝きを眺める人間は、その星々の等級の違いなどを考えずに敬うから、一番輝く星の隣の星が抱える劣等感や嫉妬に気づくことがない。ジャクソンの立場のような人間が一番孤独になりやすいのではないか。アリーという星は輝けば輝く分だけ、暗闇が作られるのだ。