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人生は美しくて、苦しい(『ムーンライト』観たマン)

『ムーンライト』を観た。


ブラッド・ピット製作総指揮!映画『ムーンライト』予告編

 

今年度のアカデミー賞作品賞を受賞した作品。授賞式で『ラ・ラ・ランド』に“一瞬”その栄誉を奪われた、なんだか気になる映画である。黒人×LGBTQが重要なテーマである本作は、社会的背景(白人によるオスカーなど)の影響で『ラ・ラ・ランド』を負かしたとも言われている。とはいうものの、自分の目で確かめないと、俺の中の作品賞が決まらないわけで・・・というわけで観ましたよ。

 

結論からいえば、こんなことを言ってしまえば賞レースってなんだよ!ということになってしまうが、『ラ・ラ・ランド』とはベクトルが違うし、全く切り離して見るべきだ。本来この2作品は競うべきものではないんだ!ダイバーシティ!!

 

シャロンという母子家庭の環境で育つ黒人の少年の物語。少年・青年・壮年時代のシャロンを追った3部構成で成り立っている。それぞれの時代の話もシャロンの迎える現実は重い。ただ、そこまでジメッとならないのは、物語に無駄な描写がなく、本質のみを取り上げているからであろう。あっという間に時間が過ぎてしまった。

 

少年期でいえば、麻薬の商人であるフアンとの出会いが非常に大きい。麻薬商人が活躍する地域の背景が、父親のような愛情を与えるフアンと、シャロンの関係が築かれる一方で、麻薬という“つかんではいけない命のつながり”がシャロンの人生に大きく影響していく。

 

全体を通して、印象的だったのが、青い光による演出である。オカマと罵られ、安堵の場所がないシャロンを包む青い光たち。それはあくまでも一時の助けにしかなれないのだが。。。ロマンティックな映像とマイノリティなシャロンが目の当たりにする現実に我々は、息苦しさをおぼえる。

 

決して、明日から前を見て生きよう!という活力を与えてくれる映画ではないが、ただ、ヘテロ黄色人種の私であっても、どこか、シャロンと自分を投影してしまう瞬間がある。ひとりでゆっくりと冷たい美しい湖につかるような、そんな作品だ。