砂ビルジャックレコード

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ひさびさに1巻をむさぼって

最近、心に余裕がない気がする。原因を考えてみたら、そういえば、マンガを読むことをおざなりにしていた。心地よい質の没頭感を補う必要があった。そんなわけで、ひさびさに1巻をむさぼりました。

 

コミックコーナーを見ると、マンガの細分化がとんでもないことになっていると思う。とりわけグルメ漫画なんか、「だがしかし」などを筆頭に、その食品群ごとにマンガ出来ていてもおかしくない。例えば、スーパーに置いてある食品の代わりに、それに関連するマンガを置いたらどのくらい占めることができるのだろうか。

 

読んだのは、さらにニッチな道を行く『本日のバーガー』だ。ええ、その通りです。ハンバーガーのマンガです。

本日のバーガー 1巻 (芳文社コミックス)
 

脱サラした元商社マンが主人公。ハンバーガーショップの店主となって、お客さんが抱えている人間問題をハンバーガーを使って解決するというシンプルなストーリー。美味しんぼ的展開をひたすら、ハンバーガーのみで戦うという究極のこだわりハチマキスタイル。特に1話の不振にあえぐ助っ人野球選手のくだりを読んで、美味しんぼの野球選手が登場した話を思い出したやつは挙手してほしい。ハンバーガーと同時に、ホイルにんにくが食べたくなった。

 

とはいえ、ハンバーガーの知識量がえげつないこのマンガ。日本も今やハンバーガー大国と言っても過言ではないですが、それでも氷山の一角であることに気付かされる。「所変われば品変わる」という言葉がぴったりで、その国の文化に合わせてハンバーガーが柔軟に形を変えていくのに驚嘆する。知識を満たしたら、次に満たしたくなるのは胃袋で、助っ人野球選手が食べていた“アンブルゲサ”というものがますます気になる。どこで食えるのであろうか。

 

ハンバーガーの知識がえげつない主人公なので、どこかの世界線で、山岡士郎が偶然訪れないかなあ、という妄想を膨らませている。そしてテリーマンは、街角のどこかでハンバーガーを立ち食いしている。 

 

 

 

もうひとつ、『ブラックナイトパレード』。これも『本日のバーガー』のような歴史をベースにしたマンガ。作者は『聖☆おにいさん』でおなじみの中村光

ブラックナイトパレード 1 (ヤングジャンプコミックス)
 

 

私が子供の頃に、「小学1年生」かなにかで読んだ、世界のサンタクロースをまとめた記事があって、衝撃をうけたのを覚えている。サンタクロース=めちゃくちゃ優しい赤いおじさん、と思っていた私の読むページの右下には「ドイツにいる黒いサンタ」の話。悪い子供には木の枝をプレゼントをするという説明に、なんだか怖くなり、良い子でいようと決意した瞬間であった。

 

その記憶が蘇るきっかけとなったのが、この『ブラックナイトパレード』であった。主人公は、コンビニの店員。ひょんなことから、“サンタクロース業務”を行う会社の社員になるという展開だが、赤ではなく”黒”のサンタの業務専門であるところが面白い。

 

また、労働の“ブラック”とかけているところも緻密である。手取り30万で寮付きだけども・・・という展開になんだか「うんうん」と唸ってしまう。このようなブラック企業的なギャグに笑ってしまう自分には、もう二度とサンタクロースがやってこないんだなとちょっとセンチメンタルにもなった。ある意味、子供に読ませたくないマンガだ。