飛行機の亡霊と戦う(『ハドソン川の奇跡』観たマン)

ハドソン川の奇跡』を観た。

 


C・イーストウッド監督×トム・ハンクス主演『ハドソン川の奇跡』予告編

  

クリント・イーストウッド師匠の最新作。クリント・イーストウッドの最新作を公開と同時に見に行ける時代を生きていることが幸せだということは忘れてはいけない。2009年に実際にあったハドソン川への飛行機着水事故(そんなニュースもあったね)を題材に、そのパイロット、サレンバーガーをトム・ハンクスが演じる。記憶の片隅にあった事件をイーストウッド師匠が重厚な人間ドラマに仕上げている。

 

前作の『アメリカン・スナイパー』と同じく、実在した人物を主人公にした本作だが、もうひとつ『アメリカの親父の背中』や『アメリカの英雄』というキーワードで共通する部分があると思う。

 

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果たして、着水の判断は正しかったのだろうか。公聴会の結果によっては家族を路頭に迷わせてしまうかもしれない。一方、メディアは大々的に、もはや誇張に思えるほど、機長を英雄視する。(全くの一般人の反応がどこか、サレンバーガーにとっては希望なのだけども)突然、脆い世界の主人公になってしまったサレンバーガーの苦悩が、迷える背中が、繊細に描かれている。

 

「アメリカ」「飛行機」「事故」というキーワードだけで、21世紀を生きている僕たちは、そして、この映画を見た人たちは否応なしにあの出来事を思い出してしまう。この時代だ。いつ、どこで、死んでしまうかわからない。しかし、結果から言えば全員生還したこの事実に、僕たちは希望を見出す。飛行機の亡霊と一生戦うであろう僕たち(と言っていいかわからない。きっとこれはアメリカ人のための映画だから)にとって、この映画はなにか不思議な団結力を生み出す作品なのだ。