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男の復讐総決算(『レヴェナント 蘇りし者』観たマン)

『レヴェナント 蘇りし者』を観た。

 


映画「レヴェナント:蘇えりし者」予告

 

見てきましたよ。今年のアカデミー賞受賞作。「バードマン」も観に行ったけども2年連続で監督賞を受賞するなんてすごいぜイニャリトゥ師匠。

 

イニャリトゥ師匠と言えば、圧倒される長回し効果の1ショット。勝手に『太陽』の入江悠監督との日墨長回し頂上決戦を脳内で開催していたのだが、いやはやイニャリトゥ師匠も素晴らしい。1ショットのように見えるグリズリーvsディカプリオとの戦闘は息を呑むし、これ、ディカプリオ殺されるじゃん!と真面目に思うぐらいにグリズリーが容赦くディカプリオを引っ張る。揺さぶる。頭蓋骨潰しにかかる。野性はエグい。

 

『ゴールデンカムイ』でもヒグマが出てきて人間と戦うシーンがある。漫画で得た雪山でのクマとの戦闘方法をなんとなく知ってるつもりでいるが、実際、目の前に自分の何倍もある山の主が現れたら、相手の体重を生かして剣を差す・・・とか考えてる間もなくdeath。雪山に行かない人生で平穏に暮らしていこう。こたつが一番。

 

舞台は雪山である。今の時代の話になってしまうが、地球上のどこへでも行けることが可能な世の中で雪山が唯一、容易く人を極限状態に追い込むことが出来るフィールドではないだろうか。雪山の途方もなさが絶望を我々に与えるが、その絶望を耐えて耐えて耐えるディカプリオ演じるグラスの呻き、鼻息、苦しみが映画全体を支配していく。その生への執念と綱渡りをするような大追跡劇に胸が熱くなる。

 

追跡される側のトム・ハーディ演じるフィッツジェラルドも本当に素晴らしくムカつく。人間の嫌な部分が抜群に浮き出てる救いようのなさがもはや清々しい。そして、物語の展開上、グラスとフィッツジェラルドの戦闘シーンが有るわけだが、まるで「ヒート」のような、雪山の戦いに近いもので言えば「仮面ライダークウガ」のクウガvsダグバの殴り合いのような総決算的クライマックス!今までの物語はこのシーンのためだけにあると言ってもいいだろう。長丁場な映画が苦手な人もいるかと思うが、どうにか必死に140分食らいついてこの男の復讐劇を見届けてもらいたい。