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紹介制ホラーの幕開け(『イット・フォローズ』観たマン)

『イット・フォローズ』(It follows)を観た。

 


「イット・フォローズ」予告編

 

ホラー映画はどちらかというと苦手なジャンルなのだが、この予告編がどうしても気になってしまい、映画館へ。あらすじを端的に言えば、「性交渉したら、何か(“イット”と呼ぶことにする)を伝染されて、そいつが襲ってくるホラー」である。社会風刺的な目で見れば、「無秩序な性の乱れへの警鐘」みたいなあらすじだが、そんなこと関係なしに怖いのだ。

 

襲ってくる“イット”は恐ろしいのが誰かに移さないかぎり(つまり性交渉して誰かになすりつけるのだ)“イット”の標的にされ続けてしまうことなのだ。ジョジョのスタンドでいう自動追尾型。射程距離はおそらく無限。1番近いのは5部に出てくるノトーリアスB・I・Gだろう。だが、いかんせん遅い。もそもそ徒歩でやってくる。健康的でスローライフな“イット”なので車で撒けばあっという間にピンチは脱出できる。その反面、家に“イット”が来た時はさあ大変。近距離型“イット”の独壇場である。

 

この「イット・フォローズ」のユニークな点は襲う人間が必ず1人(直近に感染された人)であるということだ。例えば一般的なホラー映画やゾンビ映画では、複数人がターゲットになり、ひとりずつ殺されていくということが多いだろう。殺される人物が必ずしも(お約束の場面が来ないかぎり)確定しない旧来のホラー映画をマス的ホラーと位置づけるならば、この「イット・フォローズ」は紹介されてそのターゲットになる旧mixiを髣髴とさせる“会員”しか体感できないシステムなのである。劇中で大人数を恐怖に陥れていたホラーもとうとう個人攻撃の時代、SNSの時代に突入したのではないか。ちなみにこの映画の場合のSNSはSex Network Supernaturalの略である。

 

しかしながら、「イット・フォローズ」を観ながらアメリカらしいホラーだなあと思った。あの広大な大地があるからこそ、車社会だからこそ「イット・フォローズ」の面白さが際立つわけで。日本で、しかも都心部で“イット”が登場したら大変だ。スクランブル交差点に“イット”が紛れていたのに気付かず死亡。満員電車で身動き取れなくて死亡初詣で人混みの中で死亡。圧倒的不利な文化形態である。人口密度のバカ! どうか“イット”が日本に上陸しませんように。