砂ビルジャックレコード

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美しくて面白くて変わっている人が好き(『コメット』観たマン)

『COMET/コメット』を観た。

 


映画『COMET/コメット』予告編

 

恋愛映画は大きく2つに分けることができるのではないだろうか。女性的恋愛映画と男性的恋愛映画である。女性的恋愛映画というのは、不治の病で恋愛そのものに支障をきたしたり、王子様系超絶エリートに振り回されたりな感じで、男性的恋愛映画というのは、ヒロインが心理的(すでに彼氏がいる、むちゃくちゃかわいいなど)、距離的など様々な事情で“遠い”ところにあり、それを捕まえに行くというのが多い。もちろん話の展開として例外はあるのだが、簡単にその映画が女性的か男性的か見分けるの方法がある。主役になる男女の冴えない方を性別として観れば間違いないだろう。

 

この『コメット』だが、分類するとならば男性的恋愛映画だ。男・デルと女・キンバリーとの出会いの場面もかなりチャレンジングな状況であったし、何よりキンバリーを「美しくて面白くて変わっている女性」と形容した場面に唸ってしまった。ああなんで我々は美しくて面白くて変わっている女性に惹かれてしまうんだ!『モテキ』しかり『(500)日のサマー』しかり、行き過ぎたユーモア力のある美人が出てくる話に弱い。(なおかつ幸薄感がただようとますます好きだ!)

 

彗星が地球で観測できる夜に出会ったデルとキンバリーの6年間の恋愛模様が時系列ぐちゃぐちゃに描かれていて、時間が行ったり来たり2人に何があったのか詮索しながら映画を見るんだけども、本当にタイムワープをしているかのような映像や音楽の美しさなのだ。ところどころ空や銀河を強調した映像表現もあったり、まるで宇宙を遊泳しながら、次元を「インターステラー」的に移動しながら恋愛をウォッチングしているかのような。

 

宇宙的な映像表現とも言える一方で、この話のキーワードである「夢を見た」というのが見方を多角的にする。宇宙的でもあり、どこかデルの脳内に潜り込んで探検している気分にもなれる。作中に出てくる「え、なんでいきなり!?」みたいなことも脳内の事象だと捉えると少し合点がいく気がするのは私だけであろうか。そういえば少し『エターナル・サンシャイン』的なエッセンスも含まれているのかな。(『エターナル・サンシャイン』も美しくて面白くて変わっているヒロインだ。どんだけ好きなんだ自分。)

 

この主役の2人の恋模様も、一筋縄ではいかない展開だったし、見る人によって大分解釈が変わってくるんだと思う。そして、その答え合わせをしたくてウズウズしていたりする。ちなみにこの映画を見た直後に今度から理想のタイプを聞かれたら「美しくて面白くて変わっている人」と答えようと思ったけど、現実世界のそのような人は「変わっている」の部分が割りとヤバい人だと思うので、「家庭的な人」に逃げることにした。