逆噴射(短歌の目 第2回 解説編)

短歌の目 第2回の自分の作品について、感想言うタイミングが完全に遅れてしまいましたが、少しうだうだと書かせてください。

 

tankanome.hateblo.jp

 

1.入

見たことがないロケットが見たことがない大気圏に突入するとの報せ 

 

宇宙のこととか、天体のこととかニュースで見るけども、そのことが本当に起きているのか実感沸かないよなっていう思いから作りました。あんまりわかってないけど、そのニュースが一度耳に入ってしまうと思わず空を見上げてしまい、もしかしたらあのきらめきがロケットなんじゃないかな?とロマンチスト 兼 愚か者になるのです。

 

2.粉

もう一度爆発求め歯磨き粉の尾っぽっぽいとこ持ち振る ぽふっ

 

歯磨き粉のラスト1回出るか出ないかの残量で出てくる生活感あふれる瞬間に「爆発」というちょっと物騒なイメージのある単語を入れてみました。「ぽ」の音で爆発を表現しました。チューブの端っこを持ってぶんぶんするのなんか好きなんです。出るか出ないかの寸前で「振る」ってすごいワクワクするものが多いと思います。おみくじの箱をジャラジャラ振るときとか。ドロップの缶から好きな味を出したい時とか。

 

3.新学期

新学期のクラスの扉開けるようにカーテン開けて 朝陽( あさひ )迎える

 

新しいクラスに足を踏み入れる時の高揚感と不安を毎日の行動に重ねあわせました。僕は個人的にはクラス替えは凄く怖くて、知っている友達は数人いるから大丈夫だと思うけど、果たしてその友達は今後このクラスで相手してくれるんだろうかっていう不安でいっぱいでした。みなさまそれぞれ持つ高揚感と不安の比率の違いで、この歌の読み方も変わってくるのではないでしょうか。

 

4.フール

いつの間に私に搭載されていたフールプルーフ用苦笑い

 

ミスが起きるという前提であらかじめ設定されている安全機能のことをフールプルーフというそうです。お題「フール」から出会ったこの言葉で、人間のフールプルーフを考えた時に浮かんだのが苦笑いでした。自分っていつの間に苦笑いができるようになったんだろう。これが、コミュニケーションでミスをしたという前提でDNAレベルでプリインストールされているプログラムだったら人間って末恐ろしい製品。

 

5.摘

真っ白いのぞみは走る 茶摘み歌の歌詞もメロディもまだ知らぬまま

 

10首の中で一番難産だったんですが、スターをつけている方が多くてとても嬉しいです!のぞみの停車駅が静岡にないという豆知識からふわふわ広がっていきました。のぞみの車体の白+無垢の白と茶摘み畑の緑のコントラストが浮かんでいたら思うつぼでございます。

 

 

6.異

異世界をひとりだけ知る英雄のウイニングランにはためく国旗

 

イメージしたのは100m走決勝です。足が速いってどこの国でも、地域でも、小学校でもヒーローの基準のひとつですからね。本当わかりやすい。世界大会みたいな大舞台で、1位で走り抜けて国旗持ってみんなにわーわーされるの絶対気持ちいいよなあ。

 

 

7.花祭り

花祭りの釈迦像みたいにシャンパンを浴びる殊勲の1番ヒッター

 

通っていた幼稚園が仏教系だったので、4月8日は毎年、甘茶をお釈迦様にかけるイベントのあとに甘茶の飴をくれたので、すごい良い思い出として残っています。で、その甘茶を気持ちよさそうにかけられている像を見て、野球のビールかけが浮かんだんですよね。今も花祭りという言葉を聞くと甘茶の飴の味とビールかけを思い出しますw

ただ、ビールではなくて「釈迦」「殊勲」と続くのでおなじ「しゃ行」の「シャンパン」でバランスを取っています。一度でいいからシャンパンファイトしてみたい。そのあと温泉入るのとセットでですけど。

 

8.あらたまの

あらたまの年を重ねてたどり着く宇宙の果てで原子に戻る

 

「あらたまの」という枕詞、はじめまして!これも難しいお題でした。うんうん唸っておりました。枕詞というジャンルがものすごく「いにしえのド文学用語」というところから、「理科の最先端」をぶつけてやろうではないか、平安のお前らの脳内になかった「原子」やら「宇宙」やらというものを編みこんでやろうではないかと、今を生きる人として、過去の人達に自慢したくなってこのような方向性になりました。「宇宙の果てで原子に戻る」というホワイトホール的な展開が個人的に好きです。

 

9.届け

速達で届けてください あのやぎが久しぶりに手紙くれたのに

 

ご察しの通り童謡「やぎさんゆうびん」をモチーフに作っております。これ、投稿してから気づいたんですけど、「やぎ」が「八木」 にもとれるんですよね。動物でなく、人間の八木さんからの手紙をもらったとすると、八木は高校の同級生で当時は仲よかったんだけど最近はめっきり会わなくなって、そんな奴からしばらくぶりに手紙が来たのに、なに返信に時間かけてるんだみたいなストーリーがもわもわっと立ち上がってきました。

 

10.ひとつ

砂ひとつ波粒ひとつこの足で感じて駆ける日々霞みゆく

  

「ひとつ」も意外と難しかったですね。よく使われている言葉なので、既視感のある歌になってしまうんですよね。この歌も無理やり連作の題の一部の「ダッシュ」感を入れてみたんですけど「見たことある美化された青春」みたいなクセが抜けてないですよね。もっと違う切り口あったんじゃないかと反省してます。

  

今回は、連作(と呼んで大丈夫ですか?)でチャレンジしてみましたが、やはり全体的な統一感がもうひとつ足りないですね。連作というルールに縛られすぎたんだろうか。原因は解明できていないですが、とにかく精進せねば。それではまた5月に!