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『アメリカン・スナイパー』観たマン

『アメリカン・スナイパー』を観た。

 


映画『アメリカン・スナイパー』予告編 - YouTube

 

予告編のとおり、この映画は実話に基いたもので、もちろん主人公のクリス・カイルも実在の人物だ。

作中に本物のクリス・カイルの写真が登場するのだが、主演であるブラッドリー・クーパーがほとんど本人に見間違うかのような役作りをしている。ブラッドリーさんあんなガチムチだったっけ?

狙撃のシーンは、グロ耐性が低めの方には結構キツイかもしれない。本当に、一瞬に、一瞬に人が殺される(演出な)のだ。この映画は、”人が趣きもなく死ぬ映画”である。

 

この映画を見ていない人がいるならば、お願いしたいことが2つある。

それは、「クリス・カイルを調べない」ことと、「エンドクレジットまでしっかり観る」ことである。

 

どうしても、はずれ映画は見たくないから調べてしまう。この記事も「アメリカン・スナイパー」で検索してたどり着いた人がいるかと思う。まだ、まだセーフ!ギリギリセーフ!この映画を観るまでは決してWikiなどで、「クリス・カイル」とは何者か検索しないほうが良いかと思う。(実際、自分は知識を入れずに観に行ったからこそ面白さが増したと感じている。)そもそもクリント・イーストウッドの映画を観ることが時間の無駄になるかもしれないとビビって予習をする時間こそが無駄なのだ。黙って映画館観に来んかい!クリントの親父は抜群に心揺さぶられる2時間を提供してくれるし、何より大事なのはこの作品を観たあとに「何を調べたくなるか」だと思う。

 

また、エンドクレジットについてだが、当たり前のことを言うが、エンドロールの最後の1行までが映画なのである。

このエンドクレジットにイーストウッドは、「ある時間」を私達にくれた。その与えられた時間を拒否して、そそくさと帰ってしまうのはあまりに勿体無い。映画館が明るくなるまで、しっかり映画を目に焼き付けてほしい。

 

それにしても、クリント・イーストウッド作品を見ると、どうしても文学部としての血が騒ぐ。自分も大学の課題として『グラン・トリノ』について考察したことがあって、今まで単純に「面白い」か「面白くない」かという尺度で判断していた映画に対して新たな見方が身についたことがある。(なので、イーストウッド師匠には大感謝だ)

 

この「アメリカン・スナイパー」もまた、多方面から、あらゆる事象についてを深く知りたくなる。例えばクリス・カイルの過去として紹介される「テキサスのカウボーイ」のくだり。この設定を象徴とみなすのなら、イーストウッドが表現したかったのはなにか。また、イーストウッド×カウボーイという組み合わせで何かを想起する人もいるだろう。他にも、メインテーマである「戦争」や「アメリカ」「愛国心」「正義」「父親」「伝承」「軍人の嫁の性欲」などなど。どの切り口から見ても映画の奥に眠る、自分だけが知ることのできる「アメリカン・スナイパー」の面白さがある。だからこそ、見終わったあとに引っかかったことを調べてほしい。そこからの世界はあなただけのものだ。