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リッチー・グレー(『キング・アーサー』観たマン)

キング・アーサー』を観た。

 

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私の大好きな監督のひとり、ガイ・リッチー監督の最新作。ガイ・リッチー監督は、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を観た衝撃から本当に虜である。『スナッチ』の伏線も最高だった。マドンナの元旦那とかどうでもいいから、みんなちゃんと声に出して言おう。せーの『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』!!噛んだらもう1回。

 

今回のリッチーは、あのアーサー王伝説をモチーフに映画を作ったのです。主人公のアーサーは実は昔の王の息子。スラム街で、やんちゃにたくましく育つ。ときの王様は、アーサーの叔父であり、とてつもない暴君のヴォーディガン。そのヴォーディガンを倒すためにアーサーの旅が始まる、といったあらすじ。

 

まず、アーサーの生い立ちの場面が流れるのだが、赤ん坊から筋骨隆々のアーサーになるまで、ノンストップで早回ししているかのような映像表現に思わず歓声をあげたくなる。ただ、体の成長を追っているのではなく、そのスラム街でのやんちゃっぷり。成功と失敗、努力の場面もしっかり描かれている。たった数分で、主人公の背景や性格を観客にわからせるリッチーさんすげえよ。

 

戦闘シーンも、もんのすごい。ものすごいでなく、もんのすごい。エクスカリバーを使った圧倒的戦闘力。剣術の他にも、メイジという動物を操る魔術師が出てくるのだけどもその演出ももんのすごい。こういう中世のファンタジーってゾクゾクするね。

 

そう、すべてがリッチーの創るかっこいい世界にまみれているのだ。スラム街や、暴君に支配された城での薄汚れた雰囲気は、どこか『シャーロック・ホームズ』でも見た気がする。薄汚れた街の空気感。霧の街ロンドンだなあと、ぼくの脳内が反射して喋っている。(私は一回もロンドンに行ったことはないけど)もうこれは彼にしか出来ない、曇の描写ではなかろうか。今日からこれをリッチー・グレーと呼ぶことにする。リッチー・グレーな曇り空であれば、太陽が出ていなくても全然幸せなのに。

なんかいろいろ(真の海子とかWWEとか)

夏の間に2回ぐらい体調を崩すときがある。その1回目が早速来たみたいだ。起床時はそんなことはないのだが、午前中にかけて徐々に体調の悪化に気づく。太陽が昇りきるころには、半分死んだような目でパソコンの前でのさばる。その日のうちに進める予定であった作業を切り上げて早々に帰宅。1.5リットルのポカリを買ってひたすら飲み、何度も深夜に起きて唸りながら耐え忍ぶ。無理くり1日半で体調を回復することに成功してほっとしています。

 

冷房をかけなければ体調悪くなるし、かけすぎるとそれはそれで悪くなるし、もう踏んだり蹴ったりの季節ですが、お蕎麦とか冷やし中華の冷麺系と、ラーメンやうどんなどの温麺系を絶妙にローテしてなんとか生きていきたいと思う所存です。

 

少し前のことだが、DATSのワンマンライブを観にO-NESTまで行ってきた。

https://www.instagram.com/p/BVwvKewDg52/

初々しさと楽曲の完成度のギャップにキュラキュラした90分。良い夜! #datstheband

 

初ワンマンの客側もソワソワした空気がなんだかいい。ふわふわしたMCもなんだかいい。曲は圧倒的にかっこいい!アルバムのタイトルが「Application」で、収録曲も「Mobile」や「Netflicks」と、SNSやネットメディアに支配されている若者を皮肉った歌詞も好きである。 

 

音楽の話題といえば、ここ最近はもう鈴木真海子さんに溺れすぎているのである。


鈴木真海子「Contact TOSHIKI HAYASHI (%C) remix」

 

MVジェニックな真海子もさることながら、トラックとリリックのかっこよさ。2017年でこんなにかっこ可愛くキックボードに乗れる人間がいたなんて!あっという間に一目惚れになってしまった私は大急ぎで、彼女のソロアルバムを購入。今夏、いやはやもしかして今年のナンバーワンアルバムといっても過言ではない完成度で、ほぼ毎日聞いているのであります。chelmicoも至急追いつきたい次第。 ちなみに彼女はふぁぼ魔なために、私は、彼女に関連したことをつぶやくときにドキドキしてしまいます。

 

もちろん上のTweetもふぁぼられ済み。(レイチェルもふぁぼってくれてありがとう)恥ずかしいのでエゴサされないように、題名を「真の海子」としているのはそのため、いや実際、彼女は真の海子だ。

 

先週の土曜日はWWEを観に両国国技館へ。シンスケ・ナカムラは9月の大阪なので、今回来日しないのは残念だったが、私の大好きなクリス・ジェリコがやってくるために、チケットを買ったのだ。ちなみにクリス・ジェリコ親日家で、52回目の来日らしいです。好きだよジェリコ

 

そんなジェリコが第一試合で登場したものだからもう大変。しかも対戦相手がフィン・ベイラーですよ!ジャパニーズスタイルも散りばめた高品質な試合に固唾をのむ。最後はベイラーのブラディサンデー(!)からのクー・デ・グラでフィニッシュ。ああ、もう初っ端からぶちあがりすぎて、そのあとの試合なんてどうでもよくなっちまったので、焼き鳥食べてました。

 

 

やがて射す光の方へ(『光』観たマン)

『光』を観た。

 


河瀬直美監督×永瀬正敏主演!映画『光』予告編

 

世界各国で製作されている映画を見るために、我々は様々な補助を使わなければいけなかったりする。例えば日本語以外の映画であれば、多くの観衆はその言語の意味がわからない。物語の理解するために、字幕がついたり、もしくは吹き替えで、日本語ユーザーのための映画が上映される。日本語も他国語も聞くことが出来ない人(=ろう者)は? 字幕があれば物語が読み取れる。では、視力を失っている人が映画を楽しむためにはどうするのか。ここで登場するのが日本語音声ガイドというものであり、この『光』の幹となるテーマである。

 

恥ずかしながら、私は『光』で、日本語音声ガイドなるものを知った。ちなみに、2016年で、日本語音声解説で劇場公開映画した映画は1149本中、9本である。映画鑑賞という点から見れば、まだまだバリアフリー化は進んでいない。

(参考:特定非営利活動法人メディア・アクセス・サポートセンター

  

さて、この「光」は、河瀬直美監督の最新作。この予告編でシビレたわけで、観に行ったのです。日本語音声ガイドと、視力を徐々に失ってゆくカメラマンとの静かな、でも感情を揺さぶられるラブストーリー。

 

作中、音の演出が印象に残る。冒頭に、街の人々のようすを言葉に落とし込み、滑らかに表現する水崎綾女の通る声が魅力的だ。普通に歩いていれば気にしない雑踏も、この映画では、情報として意識してしまう。

 

視力を失うカメラマンを演じる永瀬正敏の枯れっぷりも格好良い。ロービジョン器具をつかい、一所懸命にものを見ようとしたり、カメラを必死に覗き込む様子にどこかエロスを感じてしまうのはなぜだろうか。と、同時に視力を失ってゆく描写が恐怖だ。カメラマンにとって、ふわりと、自分に射していた光が消えていくのはまさしく死の現在進行形であり、それをリアルに表現している。